要約
- 英財務省は10月24日、AI経済研究所に今後3年間で2300万ポンドを追加すると発表した。予算案の公表は翌週に控える。
- 6月の研究計画では、政府の政策課題が議題を決め、外部には選んだ分析を公表するとしている。全データやモデルの公開予定は示していない。
AIの効果を語る政府が、効果を数える係にも予算をつけた。英財務省は10月24日、AI経済研究所(AIEI)へ3年間で2300万ポンドを追加すると発表した。6月に発足した研究所の仕事は、生産性、雇用、暮らしの水準への影響を測ることだ。採点係が増員されるなら、答案の見せ方も見ておきたい。
研究所は財務省と科学・イノベーション・技術省の共同組織である。調査や行政統計に、企業が持つAIモデルの利用情報を加える可能性を探り、経済モデルや複数の将来像をつくる。地域、産業、所得ごとの差に加え、計算資源、電力、人材、世界的な供給網への依存も調べる。ソフトウエアの導入件数を足すだけでは済まない仕事だ。
6月の計画書には二つの線が引かれている。研究課題は目の前の政策上の問いに沿う。外部公表は公開討論に役立つ「選んだ分析」だ。政策を決めるのは各省であり、研究所はその判断に証拠を供給する。議会や労働者が雇用予測を吟味するには、使ったデータ、前提、集団別の結果が要る。現行文書はすべてのダッシュボードやモデルを出す日程を約束していない。
ここが数字の肝になる。計画書は、AIの普及速度、仕事の置き換わり方、需要の反応によって経済予測が大きく変わると認める。資本と労働で利益をどう分けるか、AIサービスや基盤を輸入する英国に価値がどれだけ残るかも研究対象だ。全国平均が伸びても、地域や賃金の明細を見れば別の景色が出る。
2300万ポンドは今後3年の追加資金の発表であり、支出実績やAIの成果額ではない。同じ発表に雇用と産業を調べる年1000万ポンドという項目もあるが、財務省はそれをAIEIの2300万ポンドと同じ枠だとは明記していない。次に欲しいのは派手な総額より、方法と前提を添えた研究結果だ。公費で採点するなら、採点表も読める形にしてほしい。
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