要約
- DENIC eGは1996年12月に設立され、翌年7月にフランクフルト事務所を開いた。しかし、どちらも.deの技術運用が移った日ではない。カールスルーエ大学がその運用を続け、引き継ぎは1999年になった。
- 組織の設立、事務所による調整の開始、稼働サービスの運営主体の変更は別々の節目だ。すべてを「移管」とまとめると、制度と技術運用が並存した期間が見えなくなる。
.deの簡潔な通史は、よくある成長譚のように見える。大学の小さな取り組みが拡大し、プロバイダーが協同組合をつくり、それがサービスを引き継いだという筋書きだ。実際の時系列はそれほど単純ではない。DENIC eGの設立は1996年12月、フランクフルト事務所の開設は翌年7月だった。それでも.deの技術管理はカールスルーエ大学に残り、DENICの現行年表では技術運用の引き継ぎは1999年3月とされる。組織が生まれた日と、稼働中のサービスが切り替わった日は、別の問いに答えている。
この違いは協同組合より前にさかのぼる。国別コード.deは1986年11月5日にIANAデータベースへ登録された。DENICの沿革によると、初期の管理は米国のCSNETが担い、1988年にはドルトムント大学のInformatikrechner-Betriebsgruppeへ移った。同部門はネームサーバーサービスとIPv4ブロックの割り当てを担当した。当時登録されていた.deドメインは6件だけで、リストは必要に応じて手作業で更新されていた。この規模なら、担当者と大学の記憶が、専門的な登録業務の仕組みをある程度代替できた。
規模の拡大は調整方法を変えた。1993年8月、DFN、EUNET、Xlinkの三プロバイダーがIV-DENICを結成し、ネームサーバーサービスを全国公募にかけた。カールスルーエ大学の計算センターが選ばれ、当初3年間の契約で1994年1月から.deを管理した。開始時の登録数は約1,000件で、DENICによれば1996年半ばには20,000件に達していた。手作業のリストから、継続性のある管理体制へ移る必要性は高まったが、何らかの障害や特定のボトルネックが改革を引き起こしたと資料が示しているわけではない。
協同組合は、急増する名前空間に恒常的な制度基盤を与えるために設立された。DENICの現在の沿革は、1996年12月にドイツのインターネットプロバイダー37社が会合を開き、協同組合の設立を決めたと説明する。2016年の20周年発表は、37社が12月17日にDENIC eGを設立したとする。一方、2004年の活動報告では、IV-DENICの36社と関心を示した企業1社の集まりと記される。近い説明だが、参加者の数え方は同一ではない。確実に言えるのは、プロバイダー主導のグループが1996年12月に協同組合をつくったことであり、人数の表現にはDENICの回顧資料間で違いがある。
フランクフルト事務所は1997年7月に開いた。協同組合に恒久的な拠点と調整場所を与えたが、サーバー、データベース、運用責任をカールスルーエから自動的に移したわけではない。2004年の報告は技術運用が当初カールスルーエに残ったと明記し、2016年の回顧も事務所の開設とその後の機能集約を分けている。現行年表は技術サービスの節目を明示し、DENICが1999年3月にカールスルーエ大学から技術運用と.deの全サービスを引き継いだとしている。
資料には月の違いがあり、指している節目にも違いがある。2004年の報告では1999年1月から活動全体がフランクフルトに集約されたとされる一方、現行年表は技術運用の引き継ぎを3月としている。2016年の回顧も活動の集約を1月と記す。「フランクフルトへの集約」は組織全体の移転を指し、「技術運用の引き継ぎ」はサービスの担当変更を指す可能性がある。公開資料はこの2か月の差を説明していないため、推測で一つの日付にまとめるべきではない。
これは運用境界の歴史であり、ドイツのインターネットが特定の日に始まったという主張ではない。また、協同組合の設立直後に大学側の担当が消えたという話でもない。国別コードの登録、初期管理、サービスの公募、協同組合の法的設立、事務所の開設、技術運用の引き継ぎはそれぞれ異なる出来事だ。組織の形から能力を推し量り、「DENICができたのだから、すでに.deを運営していた」と考えたくなる。しかし記録は異なる姿を示す。設立後2年以上、協同組合と大学が担う技術運用は並存していた。
出典と限界
- DENIC「History of DENIC eG」
- DENIC「20 Years of DENIC eG」(2016年)
- DENIC 2004年活動報告
- ノルトライン=ヴェストファーレン大学アーカイブ、ドルトムント大学所蔵資料
- 編集上の視点であり、歴史的証拠ではない資料:Heng Luによる「Running-Code Primacy」。
これらは機関の年表や後年の回顧であり、出来事の順序と引き継ぎ年は裏付けるが、移行手順、人員の引き継ぎ、契約条件、停止時間、利用者への影響までは示さない。そうした運用の細部は未確認のまま扱う。
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