要約
PARTSTAT=ACCEPTEDが示すのは、カレンダーユーザーに付いた参加応答の状態であり、開催時刻の在席や行動ではない。- 応答者、代理、イベントの版、繰り返し回、配送処理、当日の観測を分けて保存して初めて、出席について検証できる。
研修の修了者一覧を作る担当者が、予定表から「承諾済み」の名前を取り出す。手作業は減り、名簿も整う。ところが、その一覧が証明しているのは参加意思の返信までである。途中で欠席した人、代理を立てた人、変更後の日程には回答していない人まで「出席」に変わってしまう。
RFC 5545でPARTSTATはカレンダーユーザーの参加状態と定義される。イベントではNEEDS-ACTION、ACCEPTED、DECLINED、TENTATIVE、DELEGATEDなどが使われる。これは招待を進めるための語彙であり、入室、接続、滞在時間、注意や発言を測る語彙ではない。
Dabooの仕事が示す状態のつながり
Cyrus Dabooは、これらの状態が渡される複数の層に関わった。CalDAVのRFC 4791の共著者であり、iTIPのRFC 5546を著し、CalDAV SchedulingのRFC 6638もBernard Desruisseauxと共同でまとめた。IETFの人物ページには調査時点で26本のRFCが並ぶ。CalConnectの2013年の表彰記事は、CalDAVや相互運用への貢献を当時の記録として説明している。
ただし、PARTSTATのデータモデルを定めたRFC 5545の著者はDabooではなくBernard Desruisseauxである。人物を中心に書くときほど、標準そのものの共同作業性を崩してはいけない。
主催者の記録と参加者の返信
RFC 5546では、主催者がスケジューリングオブジェクトのマスターを管理する。最初の招待では参加者を通常NEEDS-ACTIONに置く。参加者は自分のATTENDEEプロパティのPARTSTATを変え、REPLYで主催者へ返す。イベント全体のSTATUSと参加者ごとのPARTSTATは、主体も意味も異なる。
したがって主催者側のACCEPTEDから言えるのは、この版の記録に当該アドレスの承諾応答が取り込まれている、というところまでだ。誰が端末を操作したか、最終版にも意思が続いたか、当日何をしたかは別の問いになる。
一つの名前の背後にいる複数の主体
iTIPは代理を例外扱いしない。招待された人は別のカレンダーユーザーへ参加を委任できる。SENT-BYは、指定された参加者または主催者のために別のユーザーが応答したことを示す。秘書、共有メールボックス、承認された自動処理が返信を発生させることもある。
招待先のアドレス、返信操作の主体、実際に来た人は一致するとは限らない。分析基盤がこの差を捨てて「本人が承諾」とだけ残すと、後で本人性を検証する手がかりまで失われる。
SEQUENCEとRECURRENCE-IDが守る時間の境界
RFC 5546では、主催者による改訂をSEQUENCEで示し、REPLYではその値を増やさない。返信に含まれる番号は、どの版への回答かを結び付ける。日時や場所が大きく変われば、古い承諾は新しい条件への承諾ではない。
繰り返し予定では、シリーズ全体の回答と個別回の例外を分ける必要がある。RECURRENCE-IDで指定された一回だけを辞退したり移動したりできる。シリーズのACCEPTEDを全開催日に複製すれば、標準が表現していない出席履歴を作ることになる。
CalDAVが自動化するのは配送と反映
RFC 6638の暗黙的スケジューリングでは、オブジェクトの保存、変更、削除をきっかけにサーバーが必要なメッセージを送る。受信したメッセージは自動処理され得る。参加者のREPLYを受けた主催者側ではPARTSTATが更新され、SCHEDULE-STATUSは配送や処理の結果を示せる。スケジュールエージェントはSERVER、CLIENT、NONEのいずれかである。
これは運用上重要な証跡だが、人間の証跡ではない。サーバーが返信を反映したことは、本人が招待を読んだ証明ではない。まして会議への接続や在室を表さない。
出席の列を別に用意する
安全確認、資格研修、定足数、課金など、出席の記録が必要な場面はある。その場合は当日の観測方法を別途決めるべきだ。入退室カードには貸与や共連れがあり、会議接続ログには放置や再接続があり、点呼には記載ミスがある。それぞれの限界も記録する。
証拠台帳には、招待アドレス、応答値、応答した本人・代理、SEQUENCE、繰り返し回、配送状態、当日の観測信号、方法、時間帯、例外・訂正を別々に置く。PARTSTAT=ACCEPTEDは応答欄に入る。観測していなければ出席欄は空欄のままにする。
空欄を推測で埋めないことが、標準の精度を現実の判断へ引き継ぐ方法である。
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