要約
- Coltは2年間の概念実証を経て、欧州、北米、アジアの企業向けに管理型SCIONサービスを提供すると発表した。
- 公表資料だけでは、顧客ごとの接続先、利用可能な経路数、運営事業者、経路の独立性、価格やサービス水準は確認できない。
三地域への展開は販売範囲を示すが、顧客が買える経路の一覧ではない。企業にとって重要なのは、特定の拠点から特定の取引先まで、障害時に使える別経路があるか、その経路が同じ通信事業者や設備に依存していないか、そして切替責任を誰が負うかだ。Coltの新サービスは、経路制御を技術の話から調達の話へ移す。
Colt Technology Servicesは10月8日、欧州、北米、アジアの企業に向けた管理型SCIONサービスの提供を発表した。Anapayaと2年間の概念実証を行い、同社が技術をテスト、検証したとしている。金融分野の複数組織が検証に参加し、すでにソリューションを利用しているというが、社名は明らかにされていない。提供は直ちに開始すると発表した。
製品はColt SCION PrivateとColt SCION Globalの二つだ。Privateは既存のプライベート・エコシステムやエクストラネットへの接続を想定し、金融機関がパートナーの専用ネットワークに接続する用途を例に挙げる。GlobalはSCIONをバックボーンの基盤に据える組織向けのWANとして説明されている。二つの説明はサービスの用途を分けるものの、各顧客が接続できるネットワークや都市、経路を明示してはいない。
地域の広さは経路の独立性を示さない
SCIONでは、各ネットワークが自らの方針に基づいて経路情報を選び、パスセグメントとして登録する。通信端点は利用可能なセグメントを取得し、宛先までの経路を組み立てる。したがって、顧客が選べる経路は、参加ネットワーク、そこで提供されるセグメント、信頼関係や経路選択のルールに左右される。
この仕組みは、従来のインターネット経路よりも明示的な選択を可能にし得る。しかし、複数地域でサービスを売ることと、二つの拠点間に独立した経路があることは同じではない。異なる経路が同じ事業者、建物の引き込み口、都市内ファイバー、ゲートウェイ、電源設備を共有することもある。地域名だけでは共通の障害点は見えない。プロトコルの機能だけで、事業者が経路を開示するか、切替試験を行うか、契約で責任を負うかも分からない。
スイス金融ネットワークSSFNは実運用例として参考になる。ただしColtのサービスと混同してはならない。スイス国立銀行とSIXは2021年、独自の参加規則と証明書を備えたSSFNを立ち上げた。10月7日公表の国立銀行の経済ノートによると、スイス金融市場の参加者100超が接続している。SIXは冗長性のために異なる二つの通信事業者経由の接続を推奨し、接続または事業者に障害が起きた際の自動切替を説明している。これはSSFN固有の運用設計であり、Coltの顧客にも二社経由の経路や同様の切替がある証拠ではない。
SIXの現在のSSFN事業者一覧には、SCION接続、ゲートウェイ、管理サービスを提供する複数社が掲載され、BTも含まれる。したがってColtが掲げる「初」は、欧州、北米、アジアの企業に全管理型サービスを提供するという同社の主張に限定して扱うべきだ。あらゆる形のSCION接続を最初に販売した企業だとは読み替えられない。
サービス契約に必要な証拠
管理型サービスは、顧客自身がゲートウェイや監視を運用する負担を減らせる。一方で、どの経路が選ばれ、障害時にいつ切り替わるかという判断が事業者側の制御面に集まる可能性もある。顧客は経路の可視性と変更権限を確認する必要がある。
調達時には、重要な宛先ごとの認可済み経路セグメント、その提供事業者、物理設備やゲートウェイの共通点、接続可能なパートナー領域、経路方針の決定者、障害検出と復旧の時間を確認したい。稼働率、損失、遅延、切替時間、契約違反時の救済も数値で定めるべきだ。名前の異なる二経路が同じ通信事業者や物理回線に依存するなら、継続性のための二重化にはならない。
SCION-IPゲートウェイの文書は、接続するIPプレフィックスやトラフィック方針の設定を説明している。したがって、通常のインターネット上のすべての宛先やアプリケーションが自動的に管理型SCIONに含まれるわけではない。経路の制御や隔離を、アプリケーションデータの端から端までの暗号化と同一視してもならない。
Coltの発表には国別の提供地図、経路の構成、独立経路数、価格、遅延、可用性の契約値はない。発表に記載がないことは、社内資料が存在しない証明ではなく、公開情報から買い手が検証できる範囲を示している。次に問われるのは、SCIONの強みを繰り返すことではなく、実際に購入できる接続先、経路の共通依存、障害時の責任を確認できるサービス仕様だ。
調達では、混同されがちな三つの約束を分けたい。まず、どの提携ネットワークに到達できるかという到達性。次に、認可された経路のうち何を選べるかという選択肢。そして一つの経路が切れた際、アプリケーションや取引がどうなるかという結果だ。ネットワークへの接続が確認できても複数経路の存在は証明されず、ネットワーク層の切替も取引の完了を保証しない。今回の発表からは、管理責任がどの段階まで及ぶかも分からない。
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