Summary

  • 10月26日のRIPE 93に登場したPetya Vasilevaの研究は、経路変更だけでなく遅延、損失、転送速度を重ねて障害を仕分ける。基礎となるANRWの資料は7月に公開されている。
  • シンガポールの機器障害例では、観測された遅延が229.9から82.4ミリ秒へ下がる一方、損失は0から2.55%へ、転送速度は786.4から0.2 Mbpsへ変わった。速い経路という見出しでは荷物が届かない。

良くなった数字が、良くなかった仕事を隠した。研究チームのANRW原資料にあるSWT2_CPB → TAIWAN-LCG2の例では、シンガポールの機器問題に伴って経路が商用トランジットを通り、遅延は小さくなった。ところがパケット損失は2.55%、速度は0.2 Mbps。基準側の786.4 Mbpsと並べれば、時計だけが立派に走っていることが分かる。

RIPE 93の10月26日の発表枠は、この研究を運用者の判断に引き寄せた。チームはすでに7月のANRWで手法を発表している。土台はWLCG/OSGのperfSONAR測定網で、42カ国の170超の拠点にまたがり、一日約400万件のテストを生む。ただし測定は同時刻に並ばない。資料の例では遅延が一分間隔、転送速度が十分間隔、tracerouteは六〜二十四時間間隔。転送の異変が先に出ても、次の経路図はまだ来ていないことがある。

そこでチームは、起点と終点の組ごとに直近の通常状態を作る。tracerouteの経路をグラフと構造的特徴で評価し、異常な道筋を拾い、前後三十分の遅延、損失、転送速度と突き合わせる。原資料の性能判定例は、片道遅延が基準の二倍以上、損失が0.5%以上、または速度が基準の65%以下だ。数字を一つ選んで叫ぶのでなく、どの証拠を合わせたか説明できる形にする。

判定先は四つ。経路変更と性能悪化が重なれば高影響。経路が変わったのに性能テストが欠ければ測定の停止。変わった経路でも性能への影響が観測されなければ経路変更だけ。判然としないものは要確認だ。「測定の停止」を独立させた点に意味がある。証拠を失った装置に、正常という判決を代筆させないためだ。

別の事例では、英国とオランダの間の海底ケーブル障害が測定上に現れた。チームの資料によれば、ネットワーク運用センターのチケットが出る数時間前に捕捉し、その後のチケットで確認した。測定の発見と正式な引き受けの間に時間差がある。どの表示を当直者への呼び出しに変えるか、欠測を誰が追うか。障害の統治は、その小さな引き継ぎで決まる。シンガポールの例なら、呼び出しを決めるのは綺麗な遅延値ではなく消えた転送量だ。

原資料