要約

  • BERECの対象期間は2025年5月1日から2026年4月30日まで。インターネット接続の商業・技術条件を監視する方法として、28当局のうち25が事業者への情報請求、24が市場調査、24が苦情や利用者報告の分析、9が技術的なネットワーク監視を挙げた。
  • トラフィック管理、契約の透明性、高速接続の利用可能性は別々の設問だ。別設問の技術監視「12当局」を「9当局」と混ぜれば、調査の意味が消える。

苦情が届くまでに、問題には名前が要る

回線が切れれば電話をかけられる。契約より遅ければ速度を訴えられる。ところが、ある種類の通信だけ扱いが違う場合、利用者の目には「少し重い」としか映らないことがある。苦情窓口が役に立たないという話ではない。窓口に届く前に、利用者が異常を見つけて言葉にする必要がある、という話だ。

BERECの実施報告書BoR (26) 128は、開かれたインターネット規則の適用10年目に当たる。27問の調査に28の国家規制当局が答えた。接続サービスの商業・技術条件については、事業者から情報を取る当局が25、市場に公表された条件などを調べる当局が24、苦情や利用者報告を使う当局が24、技術的にネットワークを監視する当局が9。この数字は違反件数でも処分件数でもない。調べる入口の分布である。

利用者が運んでくる証拠は豊富だが、形に癖がある。フランスの「J’alerte l’Arcep」には対象期間中に6万6500件を超える全分野の知らせが寄せられた。そのうち、報告書で扱う開かれたインターネット上の権利と透明性に関わるものは136件。これは正式な苦情ではなく、利用者からの知らせだ。ポルトガルでは接続サービスについて約720件の直接の苦情があり、前期より99%増えた。申立ての記述では固定回線の故障が74%、携帯回線の故障が14%、約束された固定回線速度を下回るという訴えが8%、トラフィックの絞り込みが2%だった。

この比率を違反の発生率に読み替えることはできない。何が利用者の言葉として窓口に届いたかを示している。明白な故障は届きやすい。回線のどこかで静かに起きる差別的な挙動を見つけるには、当局自身が問いを立てて検査する必要がある。

9と12を足してはいけない

報告書を雑に読むと「技術測定をしたのは9当局だけ」という見出しができる。だが高速インターネット接続の利用可能性を尋ねた別の設問では、22当局が監視を実施し、そのうち17が利用者報告、13が事業者への照会、12が技術的なネットワーク監視を使った。また28当局中20が、消費者に接続品質を調べる仕組みを提供している。最初の9は商業・技術条件、次の12は高速接続の利用可能性という異なる仕事の回答だ。

トラフィック管理を調べる設問でも方法の配分は違う。苦情・利用者報告を分析した当局と事業者に情報を求めた当局がそれぞれ21、市場調査をした当局が15。契約の透明性については情報請求が21、市場調査と利用者報告がそれぞれ19。数字は一枚の成績表ではなく、規則の条項ごとに何を手掛かりとしたかを示す地図である。

実際の測定には手間がかかる。ポーランドの当局は2025年7月25日から2026年4月30日までに、認証済みの品質測定キットを64件貸し出し、57件の測定が完了したと報告した。ダウンロード方向の7件、アップロード方向の12件で、申請者が申告した通常利用可能な速度の80%を下回った。二つは測定方向別の数で、同じ接続が両方に入る可能性がある。「借りた」「測った」「結果が出た」という追跡可能な列が見える。

次に欲しいのは、測定の設計と判断の接続だ。いつ、どの接続を、どの条件で試し、事業者は何と説明し、当局は何を認定したのか。BERECは国家ごとの活動を整理し、公になった事例も加えている。しかし方法ごとに案件の出発点から結論、是正までを一列に並べた共通台帳は載せていない。道具の保有数だけでは、その道具が問題を見つけたかどうかは分からない。

慣れた監督は、慣れた見落としも抱える

商業・技術条件の監視方法を前期から変えていないと答えた当局は27。アイルランドは複数の調査を行ったと述べた。手法が続くのは経験の蓄積かもしれない。一方で、同じ入口だけを使えば、入口の外にある問題も毎年そのままになる。変化の有無より、どの方法がどの事実を見つけたかが重要だ。

資料は事業者が作る。苦情は利用者が発する。調査と判断を引き受けるのは国家規制当局だ。独立した測定は前二者の説明を確かめる手段になる。ただし測定器にも、場所、時間、経路という選択がある。それを公開して初めて、点滅する機械は公共の証拠になる。

出典