要約

  • ACMAの表では、TIOに送られた苦情と事業者への直接苦情の比率が、Skymeshについて2025年4〜6月に115.0%、2026年4〜6月に90.2%だった。
  • この数字は申告された苦情記録の比較であり、別々の顧客のうち何割がTIOに進んだか、個別案件が解決したか、比率が変わった理由は示さない。

顧客の割合なら100%を超えることはない。しかし、二つの件数の割り算なら100%を超える場合がある。豪州通信メディア庁(ACMA)が公表したSkymeshの115.0%はその違いを示す。比較対象は、電気通信業界オンブズマン(TIO)に送られた苦情と通信事業者へ直接申し立てられた苦情であり、同じ表には2026年4〜6月の値として90.2%が載っている。

ACMAはこの指標を、TIOに申し立てられた苦情と事業者に直接申し立てられた苦情の比率と説明し、値が高いほど外部紛争解決を求める顧客の割合が大きいとしている。一方、用語集で「事業者に戻された苦情」とは、消費者がTIOへエスカレーションし、TIOが改めて事業者に解決を求める記録だ。各事業者は四半期に受け取った件数を報告する。ランキングの一般注記には、特記がない限りTIOへエスカレーションされた苦情を通常の事業者苦情数に含めないともある。

つまり、公開指標は異なる報告経路から出た二つの記録数を比べている。公開された定義には、同じ案件や顧客を一件ずつ照合した説明がない。115%を「顧客の115%がTIOへ行った」と読むことはできず、同じ割合の人が解決を得られなかったとも言えない。また、前年からの変化がTIOへの送付減少、直接苦情の増加、報告対象やブランド集計の変更、あるいは別の要因のどれによるのかも、この表だけでは分からない。

ACMAのスコアカードには異なる単位の指標が並ぶ。2025–26年度には、事業者への苦情が748,501件で前年比10.8%減少した一方、TIOにエスカレーションされた割合は6.6%から6.9%に上昇した。解決までの平均日数は5.9日から5.4日に短縮した。四半期ダッシュボードも、サービス1万件当たりの苦情数、加重平均の解決日数、TIO苦情と事業者苦情の比率を別々に示す。どれも異なる問いには役立つが、特定の顧客の問題が持続的に解決したかは単独では分からない。

TIOの年次統計も、苦情、連絡、人数を分けている。2025–26年度のTIOは53,834件の苦情と162,885件の連絡を受け、その連絡には問い合わせと電話が含まれる。最初の事業者への紹介後にTIOへ戻った人は14,953人と別に記録された。TIOによれば、一件の苦情に複数の問題が含まれることがあり、問題は別々に数える。問い合わせ、最初の連絡時に事業者へ紹介された案件、取り下げられた苦情は苦情総数に含めない。苦情件数は顧客数やサービス数ではなく、それだけで事業者の過失を示すものでもない。

総数の減少が、あらゆる利用者体験の改善を意味するわけではない。TIOは苦情全体の減少を報告した一方、携帯電話の通話中断に関する苦情は22.6%増えて1,444件、接続遅延は10.2%増えて4,719件となった。一つの案件に複数の問題が含まれることもある。この内訳は業界全体の悪化を証明しないが、集計値だけでは異なる問題の増減を読み落とし得ることを示す。

この区別は、いま検討中の規制にも関わる。ACMAは通信消費者保護の業界基準案について意見を募集している。案では、事業者が自ら特定した事例、またはTIOや顧客からの直接苦情を通じて把握した不適切販売について、四半期ごとにACMAへ報告することを提案する。3万サービス以上の大手は基準の開始時から、小規模事業者はさらに12か月後からの報告となる案だ。ACMAは不適切販売情報の公開も検討している。いずれもまだ提案段階である。

公開が実施されるなら、見出しの件数と同じくらい「報告対象となる事例」の定義が重要になる。同じ顧客が複数回連絡することも、案件が再分類されることも、TIOから事業者へ戻ることもある。一度の販売で複数の問題が申し立てられる場合もある。発生源、日付、案件識別子、事業者、問題、状態、結果を持たない集計では、異なる事象が見かけ上同じ数字にまとめられかねない。個人を明かさない仮名化識別子と、重複・訂正・終結に関する明確なルールがあれば、個人情報を公開せずに比較可能な集計を作れる。

115%は判決でも統計上の誤りでもない。異なる経路の件数を割り算しても、自動的に顧客の確率やサービス失敗率になるわけではないという注意喚起だ。豪州の次の消費者保護ダッシュボードには、苦情記録の数だけでなく、案件の経路、解決した件数、事業者に戻った件数、結果が分からない案件も併記する価値がある。

参考資料