要約

  • Amphenolの第3四半期フリーキャッシュフローは16億2270万ドル。完了・契約済みの4件の買収価格は合計約16億ドルで、保有資金と借入金を組み合わせる計画だ。
  • 買収は車載照明用接続部品、特殊基板、欧州の家庭向け光接続、センサーに及ぶ。今の成長を将来の資金源へ育てるには、工場投資と株主還元、金融費用も賄う必要がある。

Amphenolは今年第1四半期に買ったCommScope事業について、年間売上高の見通しを46億ドルから51億ドルへ引き上げた。買収した事業が働き始めると、次の買収話にも説得力が出る。だが、買い物の腕前を測るのは、レジを通った回数よりも、その後に財布へ戻る資金だ。

10月28日の会社発表の原文資料には、新たな物差しが並んだ。9月30日までの3カ月で生み出したフリーキャッシュフローは16億2270万ドル。完了または契約した4件の買収は総額約16億ドル。一つの四半期で生む資金が、次の事業群の値段にほぼ届く。

ただし、資金の行き先は混み合っている。この四半期には約5億5300万ドルを株主へ還元し、9億3790万ドルの債務元本を返済した。会社も4件の資金調達を、手元資金と借入金の組み合わせとしている。近い二つの金額は購買力の規模を示し、実際の支払いは他の用途と一緒に組み立てる。

買うのは、別の用途へ入る足場

Empire Electronicsの買収は9月初めに完了した。米ミシガン州に本社を置き、自動車向けの複雑な接続アセンブリー、特に照明関連製品を手がける。2026年通期売上高は約3億2000万ドルの見込みだ。

契約済みのAdvancedPCBは、米コロラド州の高技術プリント基板メーカー。防衛・産業用途を担い、通期売上高は約2億7000万ドルを見込む。Dexgreen Limitedはアイルランドに本社を置き、主に欧州のFTTH向け光接続製品を供給する。見込み売上高は約9000万ドルだ。

Humanetics Sensorsの案件は、Humaneticsのセンサー事業を買うものだ。精密力センサー、特殊光ファイバーセンシング、微細加工を通じて、民間航空、防衛、産業市場に製品を届ける。通期売上高見込みは約7000万ドルとなる。

AdvancedPCBとHumanetics Sensorsは2026年第4四半期、Dexgreenは2027年第1四半期に完了を予定し、規制当局の承認などの条件が残る。4事業の通期売上高予想を足すと約7億5000万ドル。Amphenolの連結売上高には、それぞれ取得後の期間が反映される。現在の通期会社見通しは、未完了の3件を含めていない。

経営陣はITデータ通信の極めて強い自然増収を挙げる。一方、買収リストには車の照明も、住宅まで延びる光回線もある。今の需要から生まれる資金を使い、次に稼ぐ場所を複数持つ判断だ。市場ごとの注文がどう動くかによって、景気変動への効き方も変わる。

工場の支払いを済ませても、列は続く

フリーキャッシュフローは、同社独自の非GAAP指標だ。営業キャッシュフロー20億7850万ドルから設備投資4億5720万ドルを差し引き、有形固定資産の売却収入140万ドルを足す。生産設備への投資を先に払って、16億2270万ドルが残る計算になる。

その後に来るのが買収、配当、自社株買い、元本返済だ。四半期の買収支出は、取得した現金を控除して3億7180万ドル。資料はこの全額をEmpireに割り当てていない。自社株買いの現金支出は2億4470万ドル、配当は3億800万ドルだった。返済なども経て、現金・現金同等物は四半期中に5億5630万ドル減った。

データセンターの供給網を支えるメーカーにとって、キャッシュは次の生産を準備できる力でもある。設備投資は前年同期の2億5720万ドルから増えている。事業を所有する予算と、部品を実際に造る予算を同時に確保して初めて、拡張が顧客への納品につながる。

好調な注文と、増えた利息

グループ売上高は102億2970万ドルで、報告ベース65%、為替と買収影響を除く自然増収率37%だった。受注は122億ドル、受注売上高比率は1.19。Communications Solutions部門の売上高は65億8300万ドル、自然増収率51%、部門営業利益率33.1%となった。この部門はITデータ通信やAIより広く、グループのキャッシュをすべてAI由来とする読み方は範囲が合わない。

9月末の現金・現金同等物・短期投資は合計53億140万ドル。長期債務は流動部分を除き171億7010万ドルで、別に流動部分7億70万ドルがある。四半期の支払利息費用は前年同期8070万ドルから2億1230万ドルへ増えた。これはグループ全体の費用であり、4件だけに割り当てられたものではない。

先に取得したCommScope事業では、通期の調整後1株利益への上乗せ見通しも0.15ドルから0.18ドルに上がり、売上高見通しとともに会社予想へ織り込まれた。まだ年間の予測だが、取得済みの事業が実績を積み上げる段階に入っている。

今回の4件は個別価格、利益、期待収益率が公表されておらず、後日の買収会計と取得後の業績がそろえば一件ずつ評価できる。

株主も将来の資金に席を取った。四半期配当は20%増額され、2027年1月1日から3年間で40億ドルの新たな自社株買い計画が始まる。Amphenolは今の稼ぐ力で選択肢を増やしている。買った選択肢が、次の資金を生む事業になるか。複利の勝負はそこからだ。