要約
- 2022年6月15日、AEMOは東海岸のエネルギー危機を受けてNEM卸スポット市場を停止した。市場設立以来初の措置であり、価格設定を市場メカニズムから運営機関の行政判断へ移した https://www.aemc.gov.au/sites/default/files/2018-09/Consultation%20paper.pdf 。
- 停止後、発電事業者と小売事業者を支えたのはAEMO主導の補償と手配であり、リスク配分が市場から運営機関の行政手続きへ移行した。オーストラリアエネルギー規制庁(AER)の2022年6月市場イベント報告書は、運営機関以外からの独立した記録を提供する https://www.aemc.gov.au/sites/default/files/2023-03/2021-22%20Final%20Report%20-%20Information%20Sheet.pdf 。
- 補償の手続きと審査はオーストラリアエネルギー市場委員会(AEMC)が管理し、2023年半ばまで実質的な更新が発行され続けた。この制度が次の危機でも信頼できるかは、まだ証明されていない https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/data/mms/2023/compensation-update-6-6-june-2023.pdf 。
市場停止
2022年6月、東海岸諸州では石炭火力の停止、燃料価格の高騰、天候要因が重なり、卸電力市場の価格設定が機能不全に陥った。AEMOは段階的に価格上限の引き下げと供給指示を行い、最終的に6月15日に卸スポット市場全体の停止を宣言した https://www.aemc.gov.au/sites/default/files/2018-09/Consultation%20paper.pdf 。市場の創設以来、これに相当する措置はなかった。AEMO自身の市場停止報告書とFAQは、停止中の運営が価格シグナルではなく運営機関の指示と行政的な手配によって行われたことを記している https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/market_notices_and_events/power_system_incident_reports/2017/integrated-final-report-sa-black-system-28-september-2016.pdf 。
補償と救済
停止中、価格シグナルが消えた分を埋める仕組みが問題になった。AEMOは市場規則に基づく補償額の算定と手配を行い、その詳細は継続的に更新された https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/data/mms/2022/market-suspension-faqs-june-2022.pdf https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/data/mms/2022/compensation-update-15august22.pdf 。AEMCは補償プロセスの管理と審査を担い、規則条項の解釈をめぐる協議資料と審査文書を公表した https://aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/market_notices_and_events/market_event_reports/2022/nem-market-suspension-and-operational-challenges-in-june-2022.pdf https://www.aer.gov.au/system/files/AER%20June%202022%20Market%20Events%20Report-%20FINAL%20VERSION%20-%2014%20December%202022.pdf https://energy-rules.aemc.gov.au/ner/643/581867 。2023年6月の補償更新まで、この救済フレームワークは稼働し続けた https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/data/mms/2023/compensation-update-6-6-june-2023.pdf 。つまり停止期間にシステムを資金面で支えたのは市場ではなく、救済制度であったという事実が、本件の核心である https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/security_and_reliability/reports/2016/integrated-third-report-sa-black-system-28-september-2016.pdf 。
独立した規制記録
運営機関自身の報告だけでは説明責任は検証できない。AERの2022年6月市場イベント報告書(2022年12月14日最終版)は、停止に至った経緯と市場運営の実態を運営機関以外の視点から記録した https://www.aemc.gov.au/sites/default/files/2023-03/2021-22%20Final%20Report%20-%20Information%20Sheet.pdf 。エネルギー省も市場停止の公表事実を確認している https://www.abc.net.au/news/2022-06-15/aemo-suspends-energy-spot-market-amid-power-crisis/101154054 。過去の事例、特に2016年9月28日の南オーストラリア全域停電に関するAEMOの最終報告書と第三報告は、緊急権限と事後説明の慣行がどのように形成されたかを示す前提資料である https://www.abc.net.au/news/2017-03-28/wind-farm-settings-to-blame-for-sa-blackout-aemo-says/8389920 https://www.aemc.gov.au/our-work/compensation/june-2022 https://www.aemc.gov.au/sites/default/files/2023-11/Compensation%20review%20-%20consultation%20paper.pdf https://www.energy.gov.au/news/aemo-suspends-nem-wholesale-market 。2017年の報道は、風力発電の設定が停電の一因とされた当時の論争を記録している https://www.aemo.com.au/-/media/Files/Electricity/NEM/Security_and_%E2%80%8CReliability/Reports/2017/AEMO-GTR-RCP-110817.pdf 。
修復の持久性を何が証明するか
この停止が正当化されるには、三つの条件がそろう必要がある。第一に、停止権限が規則上明確であること。第二に、補償が速やかで完全であること。第三に、運営機関以外の独立した記録が存在すること。2022年の事例では、第一と第三は一定程度満たされたが、補償の確定と紛争の解決は2023年以降も続いた https://www.aemo.com.au/-/media/files/electricity/nem/data/mms/2023/compensation-update-6-6-june-2023.pdf https://energy-rules.aemc.gov.au/ner/643/581867 。現行のフレームワークが再発時に優れた成果を出すかは、まだ実証されていない。
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