要約

  • W3Cは2026年9月28日、コンソーシアム会員が7人の理事を選んだと発表した。発表上の任期は9月30日から2年間で、別にパートナーが選んだ3人が加わる。Tim Berners-Leeには理事会の議決権がない。
  • 推薦した会員や勤務先が判明していても、理事がその組織の指示で投票する権限を得たことにはならない。W3C自身の説明は、忠実義務などを法人全体に対する責任として定める。
  • 理事会は予算・監査・経営陣を監督するが、技術議題を決める機関ではない。W3C Processを改定する排他的な権限はコンソーシアム会員に残る。

推薦者が見えても、指示系統は生まれない

選挙結果にはKoichi Moriyama、Chris Needham、Theresa O'Connor、Florian Rivoal、Avneesh Singh、Léonie Watson、Hongru (Judy) Zhuの7人が並ぶ。候補者一覧には推薦した会員と候補者の所属、本人の主張もある。これは選出過程を理解する材料だ。しかし、当選後の各議決について誰が理事に命令できるかを示す文書ではない。

選挙運動で掲げた重点課題と、就任後に負う法人上の責任は分けて考える必要がある。W3Cの公開指針では、理事は組織の利益を優先し、注意義務、忠実義務、法令や定款を守る義務を負う。推薦は候補者を送り出す手段であり、後日の予算判断や監査判断に対する白紙委任状ではない。所属企業が技術標準に利害を持つ可能性と、個別の利益相反が起きたという事実も区別しなければならない。後者は具体的な議題と対応の証拠があって初めて評価できる。

今回の発表は、パートナー選出のDominique Hazaël-Massieux、Chunming Hu、Tatsuya Kurosakaの3人も挙げ、Tim Berners-Leeは議決権を持たないと明記する。任期は2026年9月30日から2028年9月30日と記す一方、個人別の票数や新しい委員会の担当、今後の決定は示していない。その空白から不正や特定企業への従属を推認してはならない。

法人の資源と標準化の手続

定款は会員選出の7議席に加え、最大4人のパートナー理事、2人の理事会選出理事を認め、理事の総数を7人以上13人以下とする。発表にある7人と3人の構成は現在の顔ぶれであり、定款上の上限ではない。さらに第2条は、W3C Processを改定する排他的な権利をコンソーシアム会員に置く。

理事会の役割説明では、戦略、予算、財務監査、CEOの評価は法人理事会の仕事である一方、日常運営と技術議題はその仕事ではないと明記される。理事会で選挙があっても、仕様が承認されたわけではない。仕様の内容や手続を変えるには、それぞれ適切な標準化の経路が要る。

ただし、理事会を「技術に無関係」と言い切るのも誤る。人員、会議運営、公開基盤への支出は作業部会の能力を左右し得る。理事会が技術本文を直接決めないとしても、資源の配分には説明責任がある。そこで問うべきなのは、予算を決めたのか、Processの改定を提案したのか、あるいは個別仕様の中身に介入したのかという行為の違いだ。

この報道は当選者に不正があるとの主張ではない。BTWが以前扱った暫定CEOと理事席の兼任は、特定の監督関係の問題だった。今回は会員選挙から法人の受託者責任へ移る際の一般的な境界を検討する。

出典