要点

  • 2026年6月末、VNETのホールセール容量は稼働中1,007MW、コミット済み970MW、顧客利用744MWだった。開示値の差は226MWである。
  • 3月末の差は182MWだった。第2四半期に稼働中容量は100MW、コミット済みは101MW増えたが、利用は57MWの増加にとどまり、差は44MW広がった。
  • 2026年の設備投資計画は100億~120億元で、拡張に伴う減価償却はすでにGAAP粗利益率を押し下げている。次に必要なのは契約件数ではなく、利用、売上、回収への転換実績だ。

VNETの同じ設備群には、二つの占有率がある。第2四半期決算資料によれば、稼働中のホールセール容量は1,007MWで、そのうち970MWが有効な顧客契約の下でコミットされている。コミット率は96.3%で、既存設備はほぼ売り切れに見える。

一方、顧客が利用していたのは744MWだった。同じ1,007MWを分母にする利用率は73.9%である。どちらも正しい指標だが、意味は同じではない。前者は契約の到達点、後者は顧客の設備が実際に動いている地点を示す。

開示された970MWと744MWの差は226MW、率では22.4ポイントとなる。VNET自身はこれを受注残、空室、余剰電力、失注売上とは呼んでいない。BTWによる単純な状態差の計算である。余分な意味を付けないからこそ、契約後に残る実行工程を見分けられる。

契約の後に機器が入る

VNETの定義では、コミット済み容量は有効な契約で顧客に確保された容量であり、利用容量は顧客が使っている容量である。その間には、サーバーやアクセラレーターの調達、搬入、受電、接続、検収、課金開始がある。

決算説明会の記録で経営陣は、顧客の入居速度を左右する要因として、半導体供給、顧客によるモデル更新の速さ、個別プロジェクトの進捗を挙げた。国産半導体の生産拡大により、下期の入居は上期より若干速くなると見込む。これは工程の説明と予想であって、稼働完了の証明ではない。

四半期の動きは順序をよく表す。3月末は稼働中907MW、コミット済み869MW、利用687MWだった。6月末にはそれぞれ1,007MW、970MW、744MWとなった。VNETは稼働中設備を100MW増やし、契約を101MW増やしたが、顧客利用の増加は57MWだった。その結果、契約と利用の差は182MWから226MWに広がった。

これだけで需要悪化とは言えない。施設の引き渡しと契約獲得が顧客の入居より速かった可能性が最も素直な読み方である。同時に、将来売上の確定でもない。VNETはMWごとの価格、課金開始日、利益率、入金条件を開示していない。

57MWの利用増は主にN-HB Campus 03とN-OR Campus 01から生じたとされる。ただし、単価、電力密度、粗利益、回収額は示されていない。MWは設備能力の単位であり、同額の売上を生む共通通貨ではない。

成熟設備と立ち上げ設備

投資家向け資料では、ホールセール設備を成熟とランプアップに分けている。成熟容量は全体の66.7%で利用率92.5%、ランプアップ容量は33.3%で36.6%だった。

分類には注意が要る。VNETは利用率80%以上を成熟、80%未満をランプアップと定義する。つまり、名称そのものが現時点の利用率から作られ、将来需要を独立して保証するものではない。入居が進めば施設の所属は変わる。

それでも、収益化の場所は見える。成熟設備はすでに高稼働で、コミット率96.3%と利用率73.9%の距離は、新しいランプアップ群に集中する。ここでは次の大型契約より、顧客設備を予定どおり動かす能力の方が重要になる。

長期契約も工程を飛ばせない。VNETはホールセール売上の90%超を継続収入とし、契約容量の残存期間を加重平均7年としている。サービス開始後の安定性を示すが、226MWの稼働日、請求の立ち上がり、開始前コストは分からない。

受注、予約、建設は別の台帳

第2四半期の最大案件は別の時間軸にある。VNETはN-OR Campus 03について、社名非公表の大手クラウド事業者から345MWを受注した。第1四半期に発表した517MWと合わせ、上期の4件は862MWとなる。

会社は862MWの引き渡しを、2026年約287MW、2027年345MW、2028年以降230MWと見込む。合計は862MWだが、稼働中のコミット済み970MWに足してはならない。受注表は将来の引き渡しを追い、コミット率はすでに稼働中の設備だけを分母にする。

さらに予約が355MWあり、受注と予約の合計は1,217MWだった。予約は顧客が先の容量を押さえる行為だが、VNETは稼働中コミット容量と同じ定義には置いていない。異なる台帳を統合すると、存在しない一つの受注残を作ってしまう。

建設中の585MWも別状態で、事前コミット率は94.2%だった。2026年下期に約333MW、2027年上期に約252MWを引き渡す計画である。事前契約が多くても、建設中のホールは顧客利用にはならない。

稼働、建設、将来開発、土地バンクを含むホールセール資源は4GWを超える。VNETの「確保済み土地バンク」は、電力枠を得た場所、または地方政府が将来開発用に指定した資源を指す。土地と電力は建設オプションであって、完成、検収、売上ではない。

満室より先に減価償却が始まる

損益計算書は、この時間差のコストを示す。第2四半期のホールセール売上は前年同期比29.3%増の11億500万元、総売上は14.2%増の27億7,900万元だった。調整後EBITDAは25.4%増の9億1,830万元、同マージンは30.1%から33.0%へ上昇した。営業費用の減少も寄与した。

GAAP粗利益は逆に7.8%減の5億520万元で、粗利益率は22.5%から18.2%に低下した。VNETは主因を急速な設備拡張に伴う減価償却の増加としている。設備が稼働中に分類されれば、顧客利用が成熟水準に届く前でも会計コストは始まり得る。226MWは利益率の時間差でもある。

調整後キャッシュ粗利益は減価償却、無形資産償却、株式報酬を除く。9.4%増の11億6,200万元となったが、マージンは43.6%から41.8%へ下がった。設備の現金コストを見る補助線ではあるものの、調整後EBITDAをキャッシュフローに変えたり、資産コストを消したりはしない。

第2四半期の営業キャッシュフローは2億1,810万元、設備取得支出は15億1,300万元だった。同時に銀行借入21億7,600万元、返済16億8,900万元がある。これらは資金調達の証拠だが、完全なフリーキャッシュフローの定義ではない。

上期設備投資は35億5,000万元で、通期計画は100億~120億元、年間引き渡しは450~500MWである。計画どおりなら下期に64億5,000万~84億5,000万元が残る。6月末の現金・拘束現金・短期投資は72億1,400万元、未使用融資枠は84億9,700万元、借入と転換社債は234億2,000万元だった。

資金余力は建設を可能にするが、顧客の入居を自動化しない。投資、利息、リース、減価償却は別々の時計で進む。

次に確認すべき三つの証拠

第一は、970MWのうち何MWが利用へ移り、建設中585MWがどの速さで稼働中の分母に入るかである。新規引き渡しが続いても226MWが縮小すれば、入居が建設に追いついている。

第二は、ホールセール売上とGAAP粗利益が減価償却を吸収できるかである。EBITDAは減価償却を除き、費用削減でも改善するため、それだけでは答えにならない。

第三は顧客集中だ。上位20社で売上の59.4%を占め、345MWの顧客名は公表されていない。長期契約は安定をもたらす一方、大型顧客の導入日程への依存を強める。

出典