要約
- Thalesは9月14日、英国にホストするLuna Cloud HSMを発表し、鍵の生成、保管、使用、バックアップ、廃棄を英国で行うとした。
- 英国内のData Protection on Demandの2インスタンスが高可用性と災害復旧を支えるという説明は、復旧試験の実績や過去の状態の保存、アプリ全体の適合性を独立に証明するものではない。
暗号鍵が普段どこで使われるかだけでは、所在地に関する調達要件は満たし切れない。障害時に使うコピーの場所も確認が必要になる。Thalesの英国向けLuna Cloud HSMは、そこまで含めた地理的な範囲を示した。
9月14日の発表によると、Data Protection on Demandを通じて提供する英国ホスト型サービスでは、鍵の生成、保管、使用、バックアップ、廃棄を英国で行う。英国に置く2つのインスタンスが、国内での高可用性と災害復旧を提供するとしている。
単に主系の設置国を示すより、具体的な商品条件である。ただしこれは供給者によるサービスの説明だ。復旧演習の結果や、特定顧客に対する規制当局の承認を公表したわけではない。
鍵の所在地とアプリの所在地は同じではない
HSMは、暗号鍵を保護して関連する処理を行うハードウェアセキュリティモジュールである。クラウド型では、そのサービス用の専用HSM基盤を利用者が自ら構築、管理せずに機能を使える。Thalesは英国の規制対象業種や公共部門などを想定顧客に挙げている。
鍵を扱う機能が英国にあるからといって、アプリケーションのデータ、ログ、クライアントソフトウェア、管理者まで全て英国にあるとは限らない。ハイブリッド環境全体が国内だけで完結するとも言えない。
発表自体も、主権は物理的な場所だけでなくアクセス、制御、運用上の要件に関わるとしている。新しい商用の選択肢は、管理された鍵のライフサイクルについて所在地を定めるものであり、あらゆる利用形態の法令適合を保証するものではない。
価格、顧客数、復旧責任の詳細な分担は明らかでない。復旧時間や復旧時点の具体的な保証、履歴の保存期間、2インスタンス間の障害分離の設計も示されていない。2インスタンスを、検証済みの独立した2リージョンや英国全体のあらゆる障害への備えに読み替えるべきではない。
今の複製と、戻れる過去を区別する
ThalesのLuna一般向け文書には、この区別を考える手掛かりがある。高可用性のガイドでは、待機メンバーが現在のオブジェクトを複製する構成を説明している。その機能だけではパーティション内容の複数世代を残せず、過去の状態が必要なら明示的なバックアップが要るとしている。
これは製品群の一般的な説明であり、英国の新しい管理サービスの実装図ではない。2インスタンスがこのクライアント管理方式を採用するとも、履歴バックアップを持たないとも証明しない。ただ、数を数えるだけでは「どの有効な状態へ戻せるか」に答えられない理由は分かる。
Luna Cloud HSMのバックアップガイドは、保存する対象、頻度、場所、復旧を行える人、試験の頻度を計画に記すよう勧めている。復旧演習は少なくとも6カ月ごとを推奨する。これは供給者の一般的な実務推奨であり、英国で新設された規制でも、新サービスで試験を実施済みという報告でもない。
同じ文書は、専用のバックアップHSMを使う方式と、適合するドメインや必要な認証情報についても説明する。だからといって新サービスの全利用者が別の機器を購入しなければならないわけではない。製品名だけでは、実際の構成と責任を決められないということだ。
場所の約束を、復旧の範囲につなぐ
今回の発表で、購入側には検討可能な国内所在地の約束が示された。次に有用なのは、その約束と対象障害、利用できる履歴、復旧目標、操作を認められた人を結ぶサービス条件である。
利用者が独自の連携や復旧用コンポーネントを追加する場合、その所在地と役割も合意が必要になる。これは導入範囲の確認であり、新サービスが鍵を英国外へ持ち出せるという指摘ではない。
調達では、操作の場所を示す証拠と、テストされ範囲が定まった復旧経路の証拠を分けてそろえたい。所在地が正しくても復旧手順の代わりにはならない。復旧できても、必要とする所在地要件を満たさなければ別の問題が残る。
出典
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