要約

  • Semtechはセルラー・モジュール事業をCompal Electronicsへ現金6,200万ドルで売却する契約を結んだ。通常の価格調整がある。7月26日時点の売却目的資産は1億3,223万5,000ドル、同負債は7,069万3,000ドルで、単純差額の純資産は6,154万2,000ドルだった。
  • 2027年度第2四半期の調整後粗利益率は54.5%、売却目的事業を除くと59.7%。第3四半期見通しの中心値は58.3%と63.9%で、範囲の違いは560bpとなる。将来の開示粗利益率が自動的に560bp上がるという意味ではない。
  • 第2四半期の半導体製品は売上高2億4,350万ドル、セグメント粗利益率62.8%。IoT Systems and Connectivity全体は9,830万ドル、34.0%だったが、同セグメントは売却対象のモジュール事業より広い。
  • 規制承認、顧客と人材の維持、共通システムの分離がまだ必要だ。6,200万ドルは総額であり、売却益、手取り額、資金使途を示していない。

価格と純資産が近くても、利益は計算できない

売却目的グループの資産は、売掛金2,588万2,000ドル、棚卸資産3,269万2,000ドル、その他流動資産5,409万ドルに、有形固定資産、無形資産などを加えた1億3,223万5,000ドルだった。負債は買掛金2,774万8,000ドル、未払債務4,191万ドルなど、合計7,069万3,000ドルである。

差し引き6,154万2,000ドルは、発表価格を45万8,000ドル下回るにすぎない。それでも45万8,000ドルをプレミアムや売却益とは呼べない。価格は通常の調整を受け、取引費用や税金は見出しに含まれず、どの負債をCompal Electronicsが引き継ぐかも四半期の表と一対一で開示されていない。Semtechは期末時点で、推定公正価値から売却費用を引いた額が帳簿価額を上回るとした。これは当時の減損不要という判断であり、決済後の手取りを示すものではない。

会計上の境界も残る。Semtechは同事業を売却目的に分類したものの、事業や業績に大きな影響を与える戦略転換ではないとして非継続事業にはしなかった。したがって現在の連結売上高と粗利益率には売却対象が入っている。決済後の数字と比べるには、継続事業への橋渡しが必要になる。

560bpは二つの分母の差である

第2四半期売上高は前年同期比32.7%増の3億4,187万1,000ドル。GAAP粗利益率は53.8%、調整後は54.5%だった。売却目的事業を除く調整後粗利益率は59.7%で、差は520bpとなった。

第3四半期について、会社は売上高4億1,000万ドルを中心に上下500万ドル、調整後粗利益率58.3%を中心に上下100bpと見込む。売却目的事業を除く粗利益率は63.9%、同じく上下100bp。中心値同士は560bp離れている。

ただし、売却すれば将来のGAAP粗利益率へ5.6ポイントを足せるわけではない。事業を除けば粗利益だけでなく売上高も減る。Semtechは除外後の売上高見通しを示していない。5.6%を4億1,000万ドルに掛ければ、継続事業の率と連結売上高の分母を混ぜることになる。得られる値はモジュール事業の粗利益でも売却効果でもない。

言えるのは、売却対象が現在の採算構成を大きく押し下げていること、残るポートフォリオがより高い調整後粗利益率を持ち得ることだ。実現値は、残存売上高、取り残される固定費、移行サービスや重複システムの費用で変わる。

IoTセグメントは切り出し損益ではない

Signal Integrityの第2四半期売上高は1億2,620万ドル、粗利益率65.3%。Analog Mixed Signal and Wirelessは1億1,740万ドル、60.1%だった。半導体製品として合計すると2億4,350万ドル、62.8%になる。

IoT Systems and Connectivity全体は9,830万ドル、34.0%。前年同期の39.5%から低下した。Semtechは率の低下を不利な製品構成によるものとし、セグメント粗利益が約160万ドル減った主因をマネージド接続サービスの売上減と説明した。

同セグメントにはゲートウェイ、ルーター、接続サービスも含まれる。LoRaデバイスは別のセグメントにある。9,830万ドルをすべて売却対象の売上高とみなし、34.0%をその採算と決めつければ、会社が開示していない損益を作ることになる。Compal Electronicsが取得するのは、関連する知的財産、顧客関係、人員を含むセルラー・モジュール事業の実質的にすべての資産と運営であり、IoTセグメント全体ではない。

高採算への集中は需要リスクも集中させる

SemtechがデータセンターとLoRaに資源を寄せる根拠は、当四半期に表れた。インフラ市場の売上高は69%増の1億2,374万3,000ドルで、データセンター向けが約4,740万ドル増えた。産業市場は25%増の1億7,885万7,000ドルで、LoRa対応製品が約2,130万ドル、IoTハードウェアが約1,170万ドル増えた。

この伸びは戦略を裏づけるが、継続を約束しない。「IoTハードウェア」は売却の法的範囲と同じ言葉ではない。Semtechの販売の多くは個別注文で、取消条項を含むものが多い。受注から出荷までを同じ四半期に行う売上も相当部分を占め、独立販売代理店経由は第2四半期売上高の75%だった。受注残が過去最高でも、すべてが取消不能の需要にはならない。

会社自身も、決済後は特定の半導体最終市場への集中が高まると認める。低採算の複雑性を減らす代わりに、AIデータセンター投資の循環とLoRa普及への依存が増える。粗利益率が高くなっても、変動が小さくなるとは限らない。

6,200万ドルの使途はまだ決まっていない

期末の現金同等物は2億405万1,000ドル、債務の額面は5億300万ドルだった。内訳は2027年債1億50万ドルと2030年債4億250万ドル。売却総額は額面債務の約12.3%、2027年債元本の約61.7%に相当する。規模の比較であって、返済計画ではない。

会社は、債務返済、自社株買い、研究開発、次の買収のいずれにも資金を約束していない。未使用のリボルビング枠も条件付きで3億5,660万ドルあり、財務制限条項を順守していた。柔軟性が実際の資本効率へ変わるかは、手取り額と配分を見て判断すべきだ。

Sierra Wirelessとの関係も範囲を分けなければならない。Semtechは同社全体の買収資金の一部として8億9,500万ドルのタームローンを借り、その後返済した。今回のモジュール事業は取得した事業群の一部であり、ルーター、接続サービス、技術や負債のすべてが一緒に売られるわけではない。6,200万ドルをSierra Wireless全体の取得価額と直接比べ、回収率を出す根拠はない。

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