要約
- 現行規約では、法人格を持つ事業体が有効なPeeringDBアカウントを持ち、代表者または役割アドレスをガバナンス・メーリングリストに登録すれば会員となる。非系列の会員は一票、共通支配下の事業体は合計一票である。
- 会員が理事を選ぶ一方、日々のレコード承認や紛争、製品、運用は別の権限系統にある。理事会が法人権限と最終上訴を持ち、組織管理者、委員会、少数の中核ボランティア、請負先が実行を担う。
- 私的団体としての授権は確認できるが、ASNやアドレス資源への権限ではない。公開資料から投票過程は追えても、系列調整後の有権者名簿や、日常判断がどれだけ覆されたかは検証できない。
会員資格はデータ一件では決まらない
PeeringDBは2015年に設立された米ワシントン州の非営利法人で、税務申告では501(c)(6)団体とされる。規約上、会員になり得るのは会社、LLC、パートナーシップなどの合法的な事業体である。条件は、有効なPeeringDB.comアカウントと、ガバナンス・メーリングリストに登録された個人代表または役割アドレスの両方だ。
投票方法の案内は「PeeringDBにデータを持ち、リストに参加する」と簡略に説明する。データベースを利用する組織への実務案内としては合理的だが、法人上の資格を定義する文書は規約である。したがって「有効なレコードを追加すれば自動的に一票を得る」とは書けない。
会員は一種類だけで、系列規定を除けば各会員が一票を持つ。適格会員の25%は臨時総会を招集でき、10%で総会の定足数となる。会費を設ける場合は会員の過半数が必要で、理事会の財務・運用権限や規約改正の中核条項を変えるには会員の3分の2が要る。議決権は形式だけではない。
ただし、その権利を数える前に企業関係を整理する必要がある。
系列企業は一票に圧縮される
直接・間接に相互を支配する事業体、同じ者に支配される事業体、共通支配下の事業体は、一つの議題につき合計一票となる。子会社を増やして影響力を膨らませることを防ぐ一方、誰かが支配関係と重複組織を判定しなければならない。
2026年の公式集計は、投票者137、棄権3、当選クオータ45を示す。適格会員数、発行・再発行した投票資格、系列グループ数、境界事例の処理は示さない。メーリングリストの登録者数を代用することもできない。一社に複数の担当者がいる場合も、複数法人が一票を共有する場合もある。
6月8日の理事会議事録は公開されているが、文書にはDRAFTと明記されている。そこでは会員数に比べ投票参加が低く、一部会員に投票上の困難があり、組織の重複が処理を複雑にしたと議論された。投票バナー、手順の簡素化、周知拡大が提案されたものの、決定はない。
これは不正の証拠ではない。公開情報からは得票を再計算できても、系列調整後の分母から投票率を算出できない、という監査上の限界である。
STVと規約の間に残る問い
理事数は3人以上7人以下で、現在はLivio Morina、Brian Burke、Isabel Odida、Marco Marzetti、Alexandre Corsoの5人である。通常任期は2年。2024年に、2015年の初回を除く連続11回の選挙で同じ人物が5回を超えて当選できない規定が加わった。2026年4月の会員総会では、Aaron HughesとJob Snijdersが初めてこの上限の影響を受けたと報告された。
二議席を争う2026年選挙は単記移譲式投票で行われ、第一ラウンドには10候補がいた。Brian Burkeは第7ラウンドで45票に達し、Marco Marzettiは第9ラウンドで当選と記録された。最終表示では移譲後に50票が消尽している。
規約第3.3節は、理事になり得る者を「投票権を持つ全会員の過半数」で選ばれた者と表現する。一方、第3.4.2節は4月の選挙方法を理事会が決定できるとする。45票は137人の単純過半数ではなく、未公表の全適格会員の過半数でもない。公開資料は両条項の解釈を説明していない。
これだけで選挙を無効、違法、不正とは言えない。複数議席の選挙に関する理事会決議や法的解釈が別に存在し得る。結論を変える証拠は、採択済みの選挙手続と規約との整合説明である。
選出後の理事会は強い。会員投票なしに目的に沿う債務を負担・支払い、サービス利用規則を定め、規定の手続に基づき3分の2で会員資格と接続を終了できる。多くの規約条項は在任理事の過半数で変更できる。AdminとProductの紛争でも理事会が最終判断者だ。
日常の権限はチケットに現れる
組織管理者はネットワーク、IX、施設の情報を作成・更新し、細かな作成・変更・削除権限を委任できる。これは分散型の部分である。新規承認、矛盾、紛争、放置された情報ではAdmin Committeeが中央の判断を担う。
承認指針はWHOISやRDAPのメールドメイン一致などを使う。施設の申請で既存ユーザー三人の証言が必要になる場合がある。RPKIチャレンジは今も作業中とされ、普遍的な検証ではない。条件を満たす空の施設は90日後に削除され得る。
Data Ownership Policyは、品質のためにAdminがデータを変更、削除、非表示、上書き、フラグ付けできるとする。ネットワークとIXの食い違い、施設の所在をめぐる問題はAdminが仲介する。既に公開され依存関係を持つデータには、急な削除を避ける「最小限の混乱」という原則がある。
委員の選定も委員会内部に委任される。ChairとVice Chairが候補を選び、一か月の試行後に承認する。許可なく三か月活動しなければ自動的に外れる。争点は単純多数で決め、同数ならChairが二票を持つ。上訴はChair、Vice Chair、理事会の順で、理事会判断が最終である。憲章は全会一致を望ましいとしながら、あらゆる事項の最終判断をChairに置く。
この文言は権限濫用の証拠ではない。実務上の重みは人員に由来する。2026年4月の議事録によれば、月1,100~1,300件の新規チケットを約4人の中核ボランティアが処理する。2025年にはボランティア応募を一時停止していた。権利を実際の処理に変えるには、少人数の継続、知識、キューへのアクセスが必要だ。
憲章はAdminが直接連絡できる主要サービス請負先として20Cを挙げる。本稿が既存の20C, LLCディレクトリエントリを関連付ける理由はこれだけである。20CがPeeringDBそのもの、所有者、理事会の支配者、全チケットの決定者だという意味ではない。
製品と運用は別の委任で動く
Product Committeeは理事会承認の憲章で動く。応募先は理事会、任期は更新可能な2年、役職者は委員会が選ぶが、理事会はいつでも委員を追加・削除できる。提案にはshepherdが付き、関係者を確認する。合意形成後に5日間の反対投票期間を置き、合意できなければ定足数50%以上、反対25%以下で判断する。紛争は理事会に上訴される。
2025年5月から2026年3月までに、主要10リリース、ポイント6リリース、102チケットの完了、確認済みバグ30件超の修正、MFAの義務化が報告された。これは活動報告であり、優先順位の妥当性を独立に証明するものではない。
同じ会員総会は、前年より低い可用性、監視の不足、一部作業の外注、コンテナ移行、追加ボランティアの必要を認める。理事会の授権、委員会の選択、実装と運用は別々の権限面である。
費用とロックイン
2025年Form 990は従業員0人、ボランティア42人を記載する。正式会計では拠出金317,545.21ドル、支出262,476.66ドル、ソフトウェア開発・保守116,043.36ドル、Product Manager 58,500ドル、オンラインサービス40,837.52ドル。年末資産は518,458.01ドルで、負債は計上されていない。
会員総会議事録はProduct Managementを約54,000ドルとする。正確な金額は財務諸表を採用し、差異は消さない。
6月の理事会草案は、一部スポンサーがPeeringDBに、従来署名を拒んできた条件の受入れを求めていると記録する。結論は出ていない。スポンサーが選挙、データ、製品判断を変えた証拠はない。資金依存は監視対象であり、支配の立証ではない。
PeeringDBはASNやIPプレフィックスを割り当てない。RIR登録、RPKI、WHOIS/RDAPとPeeringDBは役割が違う。ロックインは法的独占ではなく、履歴、権限、API、OAuth、レコード依存、Adminの経験、運用習慣から生まれる。別の表を作るだけでは、出所、紛争履歴、権限関係と統合を再現できない。
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