要約
- RFC 9994 は NAS にネットワークアクションと補助データを入れる形式を定める。アクションの存在は、経路上の実行事実ではない。
- scope、Readable Label Depth、把握した能力、未知アクションの処理、各ノードの役割が、実際の処理を分ける。
- 運用上の結論には、符号化、受入れ、ノードごとの処理、転送結果、観測結果を別々に残す必要がある。
RFC 9994 は、MPLS のラベルスタックに Network Action Sub-Stack(NAS)を置く仕様である。NAS の先頭には値 4 の MNA base Special-Purpose Label があり、続く Format B には最初の opcode と NAS を説明するフィールドが入る。さらに必要なら Format C と Format D がアクションや Ancillary Data を運ぶ。これにより、転送判断への影響、OAM 情報、ユーザー定義操作を表現できる。
ただし、表現できることと、どの機器にも実行させられることは別である。RFC は新しい Network Action Indicator を定義する文書に、形式、scope、補助データ、詳細な処理、他のアクションとの相互作用を示すよう求めている。opcode は意味への入口であって、完結した運用命令ではない。登録済みの番号だけから、競合時の扱い、経路上の能力、データの妥当性、実装の結果までは出てこない。
scope は「どこで処理すべきか」を示す
IHS フィールドは NAS 内の全アクションに一つの scope を与える。I2E なら egress だけが処理する。HbH なら経路のすべてのノードが NAS を処理する。Select なら NAS をスタック先頭へ出した特定のノードだけが処理する。複数の scope が必要なら、複数の NAS が必要になる。
ここで HbH を「すべての装置が対応済み」という報告に読み替えてはいけない。これは NAS を実際に処理する能力を持つノードへの規則である。encapsulating node には、transit と egress が NAS を処理できること、そしてパケットが path MTU を超えないことを確かめる責任がある。経路を選ぶ側は MNA capability と Readable Label Depth を考慮しなければならない。それらの情報は設定、管理プロトコル、制御プロトコルで得られ得るが、RFC 9994 は取得方法を決めない。パケットに scope が書かれても、その確認作業は不要にならない。
未知アクションの U bit も、パケットの限界をはっきり示す。ノードが opcode を認識しないとき、U bit は次のアクションへ進むか、パケットを捨てるかを指定する。これは未知の意味に対する処理規則であり、認証、越境許可、配信証明ではない。同じ NAS が、あるノードでは処理され、別のノードではスキップまたはドロップされることが、仕様に沿って起こり得る。
役割を分けて見る必要もある。encapsulating node は自らのポリシー、配置制約、学習した能力に従って NAS を追加できる。transit node は決められた順序で NAS を処理する。penultimate node は、egress が処理できるよう、露出した最後の HbH または I2E NAS を取り除いてはならない。egress node は受け取った NAS を取り除く。「アクションが実行された」という結論には、各役割で何が起きたかという証拠が必要になる。
Ancillary Data も単なる付記ではない。RFC 9994 は、ラベル値の特定ビットを変えると ECMP の選択が変わり、同一フローの順序が崩れ得ると注意する。そのようなネットワークでは可変データをその位置に置いてはならず、別の配置を使う。仕様は制約を与えるが、特定ネットワークの性能、規模、転送成功を保証しない。
セキュリティ上も同じである。encapsulation のアクションは経路上のノードに影響し得る。ローカル定義アクションには限定的な監督しかない。中間ノードは補助データを変更できる。異なる管理ドメインから provider MPLS domain へ入る MNA パケットには、導入前にフィルタリング能力が必要である。処理件数、未知アクションの skip/drop、形式不正の件数を数えることは有用だが、それは自動的な実行証明ではない。
Heng Lu の Running-Code Primacy は、この順序を守るための視点になる。共通仕様は相互運用に必要な最小限であるべきで、その後の有効性はローカルに検証できる実装、採用、証跡から生じる。ラベルの宣言、能力の把握、ローカルの受入れ、ノード処理、転送の変化、サービスへの影響は同じ事実ではない。
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