要約

  • 五つの分野すべてで購入する顧客が売上の80〜90%を占める一方、顧客数では一分野だけの購入が80〜90%を占める。
  • 便利な連携を壊さずに一部の製品を替える難しさと、少額購入者が使える選択肢を分けて考える必要がある。

契約更新は、別の会社を選ぶ機会だろうか。それとも、同じ会社のプランを選び直す機会だろうか。Microsoftの業務用ソフトを使う組織への聞き取りでは、更新時に検討されるのはライセンスの数や種類であり、Microsoftを使い続けるかどうかではないことが多かった。

これはCMAがJigsawに委託した調査に記された経験だ。担当者が比較を怠っているという単純な話ではない。利用者のID、端末、安全対策、日々の業務ソフトをまとめて管理できる点は、受け手にとって明確な利点だった。使い慣れた画面と、手間の少ない運用には価値がある。

だからこそ、一部だけを替えるときに負担が表面化する。新しい製品を残るシステムにつなぎ、社員を教育し、移行中は二つの利用料を払うこともある。競合製品を導入してもMicrosoftの代わりではなく追加になる、という回答もあった。製品の選択肢は増えても、従来の支出は減らない。

安全対策のために上位プランへ

一部の回答者は、必要なセキュリティー機能を得るためにMicrosoft 365の上位ライセンスを選んでいた。他の追加機能まで必要だったとは限らない。専門業者が優れた安全対策を提案しても、購入者には残りのソフトとの接続や契約条件を考える仕事が残る。

英国の競争当局CMAは2026年10月16日、Microsoftの業務用ソフトのエコシステムに戦略的市場地位であるSMSを付与する案を示した。意見募集は11月13日午後5時までで、最終決定の期限は2027年2月13日。まだ指定も具体的な措置も決まっていない。SMSの指定自体が不正行為を認定するわけでもない。

顧客数の多い側は、売上の大きい側ではない

2025年の購入データでは、生産性ソフト、PCのOS、セキュリティー、サーバーOS、関係データベースの五分野を扱っている。全分野で購入した顧客は全体の0〜5%だが、売上の80〜90%を占めた。一分野だけで購入した顧客は80〜90%で、売上比率は0〜5%だった。

両端の差は大きいが、二分野、三分野、四分野で購入する顧客もいる。きれいに二つへ分かれた市場ではない。また、ここで数える顧客の購入記録は従業員数や利用席数ではなく、金額だけで各社の規模を決めることもできない。

全五分野の顧客の平均年間購入額は60万〜70万米ドル。一分野の顧客は200〜300米ドルで、購入は主に生産性ソフトに集中していた。原資料の金額は米ドルであり、英ポンドではない。

一方、Jigsawの80件の定性インタビューは、従業員が10人以上、Microsoftの業務用ソフトへの年間支出が7,500ポンド以上の組織が対象で、教育機関は除外された。市場全体を代表する標本ではない。複雑な移行の経験を理解する手掛かりにはなるが、平均で数百ドルしか使わない顧客の考えまで代弁することはできない。

CMAの今後の検討方針には、クラウド上のライセンス、生産性ソフトのAI、コミュニケーションと共同作業、安全対策が含まれる。追加調査と協議はこれからだ。大きな契約なら、一製品を替えてもログインや業務を維持できるかが試される。少額の購入者なら、総額が分かり、ファイルを移し、自力で使い始められるかが重要になり得る。更新時にプラン名が増えるだけでは、この違いは埋まらない。

2026年10月26日更新:中間の購入区分と調査日程を明確にした。Jigsawの予備調査は6月、本調査は7月末まで行われた。報告書は9月付で、CMAによる公開は10月16日。既存のURLと初回公開日は維持する。