要約

  • Marvellは2027年度第2四半期の基本純利益のうち750万ドルをNVIDIA保有のSeries A優先株に配分した。内訳は未分配利益620万ドルと宣言配当130万ドルだった。
  • 8月1日時点で200万株の優先株は一株も普通株に転換されていない。それでも基本EPSには転換仮定ベースで2,180万株が入り、会社は同証券を第二の普通株クラスと位置付けた。
  • 配当、清算時の分配、取締役選任以外の株主投票は転換仮定ベースで普通株と歩調を合わせる。優先株独自の同意権は、自らの権利が不利に変更される場面に限られる。
  • 任意転換には該当するHSR待機期間が関わり得る。適格売却では決済直前に自動転換し、普通株が2営業日以内に売れなければ優先株へ戻ったものと扱われる。

四半期決算が示した「先回り」

今回の新情報は投資額そのものではない。3月末に20億ドルが払い込まれたことは、すでに公表済みだった。8月28日提出のForm 10-Qで初めて鮮明になったのは、その証券が四半期利益のどこに座ったかである。

8月1日までの3カ月間、連結基本純利益は3億800万ドルだった。普通株クラスへの配分が3億50万ドル、Series A優先株への配分が750万ドルである。優先株分は、二種類株式法による未分配利益620万ドルと、宣言済み配当130万ドルから成る。750万ドル全額をNVIDIAへの現金支払いと表現するのは正しくない。現金分配として決まった部分と、会計上の利益帰属を混同するからだ。

法的な株式形態は動いていなかった。会社は8月1日時点で転換済み優先株がゼロだったと明記する。一方、基本EPSの分母には普通株8億7,560万株と、優先株の転換仮定ベース2,180万株を置き、合計8億9,740万株とした。普通株、優先株、連結の基本EPSはいずれも0.34ドルだった。

750万ドルは四半期基本純利益の約2.44%。2,180万株は連結基本加重平均株式数の約2.43%である。この近さは、権利に沿った利益配分を確認する材料になる。ただし、NVIDIAが期末にMarvell普通株の2.43%を法的に保有したことを意味しない。転換は起きておらず、実際の持分率には発行済み株式、買い戻し、報酬株式、ワラント、調整後の転換比率が影響する。

Marvell自身の説明はさらに踏み込む。Series Aには普通株に対する重要な優先権がなく、一部の議決権を除けば権利と特権が同じであるため、二種類株式法では第二の普通株クラスに当たる。証券名より先に、参加権が損益計算へ入った。

二つの株数と一つの価格

NVIDIAが買ったのは200万株のSeries A転換優先株で、各株の stated value は1,000ドル。初期転換比率は優先株1株につき普通株10.8890株で、合計上限は2,177万8,000株となる。20億ドルをこの初期上限で割ると、公表された約91.8355ドルの初期転換価格と一致する。

200万株は優先株の口数であり、2,177万8,000株は普通株換算の初期上限だ。前者だけで希薄化を測れば小さ過ぎ、後者を発行済み普通株と呼べば早過ぎる。

Form 8-Kと法的条件を定めるCertificate of Designationsを読むと、転換前から動いている権利が分かる。

普通株に配当が宣言されれば、別の転換比率調整が働かない限り、優先株にも転換仮定ベースで同時かつ比例的に配当される。清算、解散、事業終了、定義された支配権変更では、分配可能資産を普通株と同じく転換したものとして比例配分する。NVIDIAだけが先に受け取る上位の清算枠ではない。償還請求権も新株引受優先権もない。

株主投票も、取締役選任を除いて普通株と合同で行う。NVIDIAは優先株を普通株換算して投票できるが、Marvellの取締役を選ぶ投票には参加できない。

別枠の保護として、優先株の権限、優先性、権利を不利に変える場合や指定証書を修正する場合には、発行済み優先株の過半数の同意が必要になる。現状の発行クラスを一社で保有するNVIDIAにとって重要な鍵だが、あくまで証券条項を守る鍵であり、事業計画や予算、買収、取締役会全体への包括的拒否権ではない。

取引が不成立なら株式形態も戻る

保有者の任意転換は、該当する場合、米国のHart-Scott-Rodino法に基づく待機期間の満了または終了後でなければ実行できない。公開資料からは申請の要否、進捗、転換予定日を判断できない。「HSRの対象になり得る」と「現在も規制で止まっている」は同じではない。

売却時の手続きはより独特だ。MarvellまたはNVIDIAの非関連者に優先株を売る取引は適格売却と定義され、決済直前に自動で普通株へ転換する。しかし、転換日から2営業日以内にその普通株が売却されなければ、優先株へ再転換されたものとみなされる。

したがって、転換通知だけでは状態の確定を証明できない。将来の確認点は普通株の交付と売却の決済である。株式配当、分割、併合、特定の組織再編でも転換比率は調整されるため、2,177万8,000株を永久の数字として扱うべきでもない。

会社の資金プールと用途を分ける

20億ドルの入金は確定している。半年のキャッシュフローでは優先株発行収入20億ドル、発行費用控除後の資本剰余金計上額19億9,960万ドルを確認できる。同じ半年に営業キャッシュフロー12億4,430万ドル、買収の純現金支出12億7,090万ドル、普通株買い戻し4億ドル、配当支払い1億770万ドルがあり、期末現金は39億3,280万ドルだった。

ただし、同じ期間に並んだからといって資金のひも付けが生まれるわけではない。資料はNVIDIAの20億ドルをCelestial AI、XConn、Google向け開発、ウエハー、買い戻し、配当、個別のデータセンター製品へ指定していない。資本と流動性が厚くなったことは言えるが、特定支出の原資を断定することはできない。

契約も分離が必要だ。NVIDIAのSeries A、Google向け顧客ワラント、Celestial AIアーンアウトに対応する相手方非公表の現金決済フォワードは、それぞれ別の権利体系である。同じMarvellの資本構成に存在することは、保有者や目的の同一性を示さない。

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