要約

  • AS210328の運営者はalmazcloud.networkで「DIAMOND(ロシア語でALMAZ)」ブランドのクラウドサービスを販売し、月499米ドルからのCLOUD CONNECT、月99米ドルからのBGP ANNOUNCEMENTSなど6製品の価格表を公開している(almazcloud.network)。
  • ルーティング観測では、AS210328はIPv4 /24プレフィクス3個(77.91.65.0/24、185.136.15.0/24、185.218.138.0/24)、512個の発信アドレス、IPv6なし、上流3個(AS202425、AS201814、AS48693)、観測されたピアと下流ゼロという極小の footprint を示す(IPregistry、IP2Location)。
  • 3個のプレフィクスすべてが第三者に登録されており、AO ALMAZ自身の登録ではない。77.91.65.0/24はIP-FI/Foton Telecom、185.136.15.0/24と185.218.138.0/24はVlad Cojuhari名義で、185.136.15.0/24はミラー上でTelepatiya Ltd(カザフスタン系)と記述される(ipip whois)。
  • RPKI上、AS210328名義のROAは77.91.65.0/24と185.136.15.0/24のみを覆盖し、185.218.138.0/24はこの起源に対してNOT-FOUNDである(IPregistry)。
  • RIPEのORG-ZA238-RIPEが参照する登録番号OGRN 1196501003357は、監査集計サイト上で南サハリン州ユジノサハリンスクのAO ALMAZ——2019年5月6日設立、主たる業種は海洋養殖(OKVED 03.21)、平均在籍2名、2024年売上1,460万ルーブル、2025年は88.3万ルーブルの純損失——に対応する(audit-it.ru)。
  • 取得したどの公開情報源も、almazcloud.networkのウェブサイト、DNS権威、メールサービスがAS210328のアドレス空間で運用されていることを示さず、第三者ホスティングの証拠もない。事業者の公開サービスは、取得証拠の範囲では事業者自身のネットワーク上に位置づけられない。

この乖離の構造は単純だ。販売されているのは計算能力でも接続容量でもなく、YandexやSberbankへの「直接物理ピアリング」という信頼である。しかしPeeringDBは運営者自身の申告に基づくレコード19111で、IPv4・IPv6プレフィクスをゼロと申告し、ルートサーバ経由を「決して使わない」と明記した制限的ピアリング方針を示しており、そのピアリング主張を裏付けるルーティング観測は存在しない(PeeringDB)。信頼を売る売り手の自己運用が、その売り網の上で観測不能であることは、AI時代の低価格コンピュート・接続の買い手にとって具体的なデリバリー・リスクである。

検証の方法論は単純である。事業者の公表製品(ウェブ、DNS、メール、トランジット販売)を列挙し、それぞれが公表ネットワークのアドレス空間上に現れるかを複数の独立した観測点で確認する。今回の証拠集合では、どの層でも一致が見つからなかった。不在の証明ではない——DNS、証明書、メールの各層は今回直接照会できていない——が、「観測されるものが何もない」状態は、容量に裏打ちされた事業と、登録・表示だけの事業を区別する第一のふるいとして機能する。

ミラー間の乖離も実際に存在する。IPinfoはAS210328をInactive、アドレスゼロ、ホストドメインゼロと分類し(更新スタンプ2021-12-28)、Hurricane Electricは3プレフィクス・512アドレス、IPregistryは512 IPv4でAS種別Hostingと報じる(IPregistry、IP2Location)。「あるミラーに証拠がない」ことは「不在の証拠」ではない——この結論はprior BTW報道が2026年8月のレジストリ編集とミラー乖離についてすでに文書化した通りである(BTW mirror-divergence)。

購買判断の実務家への含意は三つに要約できる。第一に、公表製品の配信地点を自分の観測点で検証すること。第二に、RPKI状態と第三者登録の空間の関係を確認すること。第三に、ピアリング主張をPeeringDB以外の観測で照合すること。これらはいずれもコストのかからない検証であり、「499ドル/月でYandexに直結」のような文言が観測可能なルーティングに対応するかを判定できる。

登録層の事実も整理しておく。RIPEデータベースのaut-num AS210328はas-name ALMAZ、組織ORG-ZA238-RIPE、2021-12-27作成、最終更新2026-08-21、スポンサリングorgはORG-DNJ1-RIPEで、import/exportポリシーはAS48693方向のみ、abuse-cはZAN42-RIPE(role「almazcloud.network」、登録上のabuse役割連絡先)である(IP2Location)。ポリシーの単一性とピア・下流ゼロの観測は一致しており、これは「見えない」こと自体が一貫した状態であることを示す。

証拠の限界は明示する。全情報源は検索プロバイダ経由の引用であり、直接のHTTP/TLS取得、DNS解決、ライブRDAP照会は今回できていない。OGRNと養殖業の対応は集計サイトに基づき、一次のEGRUL抽出ではない。ルーティング・RPKI観測はコレクタと時点に依存する。これらの限界内で、配信側の一致が一つも観測されないという中間結論は安定している。