要約
- PP-26は全体会合と一部委員会で遠隔参加を認めるが、ドーハに代表団がいない加盟国は投票も最終文書への署名もできない。
- 「権限の移転」により、別の加盟国の現地代表団がその投票と署名を代行できる。ただし、委任先は不在国に代わって発言できない。
画面越しの接続で代表の意見を会議室に届けることはできる。だがITUの2026年全権委員会議(PP-26)では、加盟国の票まで届けることはできない。会議は遠隔参加を設けているため見落としやすいが、PP-26の資格認証規則は議論への参加と正式な投票権を切り分けている。
PP-26は11月9日から27日までドーハで開かれる。ITUは全権委員会議を組織の最高意思決定機関と位置付ける。加盟国はそこで全体方針を決め、4年間の戦略・財政計画を採択し、幹部、48か国で構成する理事会、12人の無線通信規則委員会を選ぶ。内容はPP-26の概要に示されている。選挙は公式日程によると11月12日に始まる。会場にいるかどうかは、今後4年間の組織運営を決める場で、各国が正式な権限をどう行使するかに関わる。
PP-26は全体会合と一部委員会の遠隔参加を受け付ける。登録FAQは、広範な遠隔参加を認める一方で、会議自体は対面で開かれ、全体会合の決定は会場にいる代表が行うと説明する。ITUの遠隔参加ガイドラインでは、遠隔の参加者は議論に加われるものの、意思決定には参加できない。資格認証のFAQはさらに明確だ。ドーハに代表団を送れない加盟国は、投票も最終文書への署名もできない。登録が遠隔参加だけの代表団にも同じ規則が適用される。
不在国に投票の道がないわけではない。「Transfer of Powers」(ToP、権限の移転)を提出すれば、ドーハにいる別の加盟国代表団に、自国に代わって投票し、最終文書に署名する権限を与えられる。資格認証の案内では、文書には国家元首、政府首脳または外務大臣の署名が必要で、原本を提出しなければならないとしている。代表団を会議に送れない国のための制度だ。
一方、「Transfer of Vote」(ToV、投票の移転)は、代表団を現地に送ったものの、会議の一部に出席できない場合に使う。移転は指定された会合だけに限られる。移転する側と受け取る側は、どちらも資格認証を済ませ、会議に物理的に出席していなければならない。文書には受任する代表団と対象会合を記し、電子メールで提出できる。原本は不要だ。遠隔だけで参加する代表団は会議に「出席」したとは扱われないため、ToVを利用できない。
似た名称だが、二つの制度が扱う不在は異なる。代表団を派遣できない国が使うのはToP。現地参加している代表団が特定の会合を欠席するときに使うのがToVだ。オンライン接続によって、前者の状況が後者に変わるわけではない。
どちらの移転でも、受任した代表団が委任国に代わって発言する権利は生じない。受任側は認められた票を投じ、ToPなら最終文書に署名できるが、別の政府の立場を表明する権限は得ない。一つの代表団が複数の委任を受けることはできるものの、同時に行使できる代理票は一票だけで、自国の票に加えて一票となる。ToVの受任側には自らの投票権も必要だが、ToPではそれが条件ではない。
事務処理の時期も重要だ。資格認証委員会事務局は会議の議長に通知し、会議文書を公開して、資格・投票データベースを更新する。処理に時間がかかるため、PP-26の会期中に受領した移転は通常、次に予定されている全体会合で有効になる。署名を済ませた瞬間から投票できるとは限らない。
確認できた公開資料には、遠隔だけで参加する国の数、代理権の利用数、受任する代表団、投票結果の記載はない。結果への影響も予測できない。確認できるのは、限られた議論への遠隔参加を認めつつ、正式な投票と署名は現地にいる適格な代表団に留保し、欠席時には条件付きの正式な移転を設けるという制度だ。
この規則だけで不公正な結果が生まれるとは言えない。明らかになるのは、議論に加わる機会と国の票を投じる法的権限との境界である。渡航できない国の票は他国の代表団を通じて行使できるが、同じ文書がその政府の発言権を移すわけではない。会議の資格認証と移転記録を確認し、オンライン参加を投票権と同一視せずに手続を評価する必要がある。
参照資料
PP-26 資格認証FAQ · 登録FAQ · 決議167に基づく遠隔参加ガイドライン · PP-26概要 · 日程と期限
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