要約

  • Blocked Name は排除境界であり、競合申請でも contention set の勝者でもない。
  • 再構成可能な結果には、比較されたラベルまたはバリアント、関係、パネルの理由、異議期間が必要だ。

ICANN の 2026 年新 gTLD ラウンドでは、競合申請が一件もなくても、申請が先へ進めなくなる場合がある。障害になるのは別の申請者ではなく、Blocked Name だ。これは同ラウンドで申請できないラベルであり、その名称とバリアントの周囲には視覚的類似性による排除境界も設けられる。

これは通常の文字列競合とは違う。競合申請は、ルート上の同じ、または紛らわしい位置を求める。Blocked Name は何も申請せず、入札も辞退もせず、レジストリ契約を結ぶ主体でもない。それでも『Applicant Guidebook』は、申請文字列またはそのバリアントが、Blocked Name かそのバリアントと視覚的に類似すると独立パネルが判断した場合、その申請は先へ進めないと定めている。

見かけ上は「見えない相手との競争」に敗れたように映る。しかし正確には、これは他の申請者の勝利ではなく、排除決定である。

閉じた門に至る二つの経路

現在の権威ある英語版ガイドブックは、2026 年 4 月 24 日公表の V2-2026.04.24 である。7.2.1 節は Blocked Names を、このラウンドで申請できないラベルとして扱う。保護・予約の根拠は複数あるため、「blocked」という表示だけで全名称に同じ政策理由があるとはいえない。

表 7-5 は二つの結果を区別する。申請文字列が Blocked Name と同一、またはそのバリアントであれば、申請は受理されない。他方、String Similarity Evaluation で視覚的に類似すると判断された場合、申請は先へ進めない。

「受理されない」と「進めない」は、同じ失敗表示にまとめるべきではない。前者は申請取扱いの段階で捉えられる関係、後者は比較手続を経た評価結果だ。公開記録は、どちらの経路で門が閉じたのかを示す必要がある。

境界は競争相手ではない

7.10.3.5 節は、申請された gTLD 文字列とそのバリアントの間の contention set を扱う。Blocked Name の結果は 7.10.3.6 節で別に規定されている。この構造から導ける限定的だが重要な理解は、Blocked Name が競合申請ではなく、排除境界として働くということだ。

この区別により誤解を避けられる。保護されたラベルが提案の優劣で勝ったわけではない。申請者がより優れた計画に負けたとも限らない。オークションや私的解決が前提でもない。また、視覚的類似性の判断は、悪意、商標侵害、申請者の不正を立証するものではない。ガイドブック上の、文字列の外観についての限定的な問いに答えるだけである。

これを「競合」と呼べば、存在しない対戦相手を作ってしまう。Blocked Name を委任済み gTLD と書けば、別の地位を捏造しかねない。正確な説明は、保護または予約されたラベルとの関係により申請が停止した、というものだ。

バリアントが比較境界を広げる

規則は、申請文字列の本体と Blocked Name の本体だけを比べるのではない。双方のバリアントを含む。引き金になったのが申請文字列そのものか、そのバリアントかもしれない。比較の相手も、基礎となる Blocked Name か、そのバリアントかもしれない。

したがって「Blocked Name により進行不可」という一行では決定を再構成できない。実際に比較された二つのラベル、同一・バリアント・視覚的類似のどの関係だったかを示す必要がある。

比較の辺がなければ、blocked は不透明な結論にすぎない。辺があれば、名称の区分、ラベル、関係、パネル判断、手続上の結果という順序を検証できる。

パネルの理由と異議申立ての時計

ガイドブックは String Similarity Evaluation を、独立パネルによる手作業の比較としている。7.10.2.4 節によれば、パネルは分析と結果を理由付きで記録する。ICANN の現在の案内ページも、自動スコアだけで決める仕組みではなく、人による審査として説明している。

視覚的類似性は判断を伴う。公開記録には、なぜ具体的な比較が基準を超えたのかを理解できるだけの理由が必要だ。最終ステータスだけを示して、決定的な文字列の組み合わせを隠すべきではない。

7.10.4 節には、事実または手続上の誤りを理由に、明白な誤りの基準で争う仕組みと 21 日の提出期間もある。これは政策論争のやり直しでも、自動的な再審査でもない。しかし、決定記録が比較対象を示さなければ、申請者は事実・手続上の誤りを合理的に検討できない。

ICANN が公開すべき記録

一次資料は規則、パネル手続、結果区分、異議申立てを裏付けるが、以下の完全な記録を ICANN が現に公開しているとは証明していない。従って、これは Heng Lu doctrine に基づく統治上の提案であり、現行実務の記述ではない。

各排除結果について、Blocked Name の区分、比較された申請文字列またはバリアント、相手側の Blocked Name またはバリアント、関係の種類、パネルの理由、結果、異議期間の起算日を一つの簡潔な台帳として公開すべきだ。

それは保護名称を申請者に変えることでも、機密戦略をさらすことでもない。一つの申請が停止した法的・手続的経路を見えるようにするだけである。

排除は排除として見えるべきだ

Blocked Name は門を閉じられるが、門の向こうに競争者として立っているわけではない。競合申請者がいないからこそ、結果の分類は重要になる。

ICANN はこの決定を勝者と敗者の言葉で語るべきではない。適用された境界、境界を作動させた正確な比較、誤りを検証する経路を示すべきだ。申請が進めないとき、存在しなかった競争相手を想像させるのではなく、何が止めたのかを公開記録から確認できなければならない。

一次資料