要約
- 小型の無線機器でも、用途が変われば条件は変わる。Arcepの案は、RFIDリーダーの送信周波数を絞り、スキャナーの使用を屋内に限り、特定の埋め込み機器の条件を動物用に限定している。
- 意見募集は2026年11月10日午後6時、パリ時間まで。まだ新条件で使えると決まったわけではなく、フランスとEUで異なる機器分類の説明も必要だ。
小さな無線機器の話なのに、読むべき条件は小さくない。フランスの案では、RFIDリーダーが4 W ERPで送信できるのは、指定された三つの中心周波数だけだ。対応帯域の中であれば自由に選べる、という話ではない。保安検査スキャナーには、別の制約がある。案の二つの区分は、どちらも屋内用だ。
機器を選ぶ人にとっては、どれも使い道に直結する違いになる。周波数と出力が仕様に合っていても、それだけで設置場所や用途まで認められるわけではない。表の右端にある「屋内に限る」「動物用に限る」という言葉を読み落とせないのは、そのためだ。
35ページの改正案が扱うのは、RFID、警報装置、データ通信、医療用機器、保安検査スキャナーなどの短距離無線機器だ。名称はひとまとめでも、共通の許可が与えられるわけではない。表の各行が、利用できる機器と動作条件を定める。
医療用の埋め込み機器は、特に読み違えたくない例だ。315~600 kHzの行が対象にするのは、動物用の能動型埋め込み医療機器に限られる。人向けにも使える一般的な開放、と受け取ることはできない。
数値の条件も残る。磁界強度は10メートルの距離で−5 dBμA/m以下、デューティ比は最大10%。後者は送信時間の割合を制限するものだ。「医療用」という大きな分類だけでは、この二つの上限も、動物用という限定も伝わらない。
意見募集の締め切りと施行日は別
今回置き換えようとしているのは、フランスの決定2014-1263の技術付属書だ。Arcepは既存の枠組みについて、直近の改正を2023年としている。新案は、2025年1月22日採択のEU決定2025/105と、同年3月26日採択の2025/650を反映するものだ。
公開意見募集は2026年9月11日に始まり、11月10日のパリ時間午後6時に締め切られる。新しい決定の番号と採択日はまだ空欄で、所管大臣の承認後にフランス官報へ掲載する手続きも残っている。意見を出せる期間の終わりを、そのまま新条件で運用できる日に置き換えることはできない。
隣の行から条件を借りることはできない
保安検査スキャナーでは、69.8~79.9 GHzの行に7 dBm EIRPという上限と屋内限定の条件がある。76.5~80.5 GHzの行も屋内用だが、こちらはピークEIRPが19 dBm。さらに、帯域外の放射を許容最大ピーク値より少なくとも23 dB抑える条件が付く。帯域が一部重なるからといって、一方の高い出力と他方の条件を組み合わせられるわけではない。
900 MHz付近にも、数字だけでは読み切れない違いがある。RFID向けの916.1~918.9 MHzでは、リーダーの4 W ERPでの動作は916.3、917.5、918.7 MHzという三つの中心周波数に限られる。チャネル幅は400 kHz以下で、周波数アクセスや干渉抑制の技術も求められる。帯域の端から端まで、どこでも同じ出力で使えるという意味ではない。
ここでのERPは、スキャナーの条件に出てきたEIRPとは異なる電力の基準だ。フランス語の表では前者がPAR、後者がPIREと記される。「4 W」を正しく転記しても、その後ろの略語を取り違えれば条件は変わってしまう。
フランス案は916.1~919.4 MHzの行を「radiodetermination」と分類し、25 mW ERP、チャネル幅600 kHz以下、デューティ比1%以下を示している。データネットワーク内での利用が前提となり、移動型や可搬型の機器はアクセスポイントの制御下に置かれる。
一方、916.4~919.4 MHzの広帯域データ通信も出力は25 mW ERPだが、チャネル幅は600 kHz~1 MHzとなる。デューティ比の上限はアクセスポイントが10%、それ以外の機器が2.8%で、ネットワーク制御の条件も付く。同じ出力、近い周波数でも、送信できる時間や機器の役割は同じではない。
分類名の違いは、まだ消さない
EU決定2025/650の付属書では、916.1~919.4 MHzを扱う5番の行が「用途を特定しない短距離無線機器」とされている。フランス案の「radiodetermination」とは分類名が異なる。また、EUの広帯域の行はチャネル幅を600 kHz超、1 MHz以下と明記する。
確認した公的資料だけでは、両者の分類を同義と断定することも、フランス案の誤記と判断することもできない。製品をどの行に当てはめるかが問題になる以上、この違いは注記から落とすべきではない。必要なのは都合のよい解釈ではなく、公的な説明だ。
EU決定2025/105は、国ごとに条件が合わない場合に起こる干渉、国境を越えた利用の制約、生産コストを制度調整の背景として挙げる。条件の共通化にはそうした障害を減らす狙いがある。ただし、特定メーカーの費用が実際に下がったことや、新製品がすでに設置されたことを、この文書が証明するわけではない。
Arcepは、営業上の秘密として保護される情報を除いて意見募集の結果を公表する予定だ。次に見るべきは、最終版に残る用途と条件、そして分類の違いについての説明である。表に周波数が載ることと、目の前の製品が適合すること。その間には、まだ確認すべき仕様がある。
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