要約

  • ACMAは、一時的なネットワーク障害と端末自体の000発信不能を分ける案を示した。
  • 修正できる可能性がある端末は最長25日調査し、初回通知から35日目に遮断される可能性がある。

電話もデータ通信も普通に使える。ところが、誰も試したくない電話番号――豪州の緊急番号000――だけがつながらない。通信規制当局ACMAは、その原因が端末なのか、一時的なネットワーク障害なのかを事業者に切り分けさせようとしている。小さな技術判定に見えるが、結果はサービス停止まで左右する。

ACMAは2026年8月21日に意見募集を始め、9月14日に締め切った。提出意見は10月2日に公開され、現在は審査中。改正対象は「Telecommunications (Emergency Call Service) Determination 2019」だ。まだ提案段階で、現行ルールではない。

現行制度は3G終了への対応として整備された。2024年以降、通信事業者は000に発信できない端末を特定し、遮断する義務を負う。自社網が使えないとき、利用可能な別の網に接続して緊急通報できない端末も対象だ。緊急通報できない端末を通常どおり使わせないという目的は明快だ。ただ、実運用では端末と網の境界がきれいではない。コア網障害や信号障害で、端末自体は正常でも一時的に000へ接続できず、障害解消だけで復旧することがある。

ACMAは、端末に直接起因しない一時的な障害について例外を設ける案を出した。障害が解消すれば端末を修理・変更せずに緊急通報が戻るなら、その事象には端末遮断ルールを適用しない。要するに、ネットワークの不調を携帯電話の罪状に書き換えないための仕分けだ。分類を誤れば、網の修理で済む問題が利用者のサービス停止に化ける。

ソフトウェア、ファームウェア、OS更新、網設定で直せる可能性がある端末には、別の時計が動く。問題を特定してから5営業日以内に利用者へ通知する。修正方法がまだ分からなければ、最大25暦日かけて調査できる。修正策が見つからなければ、初回通知から35暦日目に遮断する。更新方法がある場合は手順を伝え、3暦日ごとにリマインダーを送る。35日目までに更新されなければ、その端末へのサービス提供を止める。

通知の扱いには、もう一段強い提案がある。一部の義務を前段階の実施と切り離すため、利用者が通知を受け取っていなくても端末を遮断する場合があり得る。「送信した」と「届いた」は別の記録だが、遮断日はその差を待たずに来る。

さらに、000に接続できない端末を見つけた事業者は、その情報を他の事業者やサービス提供者へ共有する案も示された。同じ端末が網ごとに違う判定を受ける事態を減らせる。端末の診断は、一社の運用データから複数網の意思決定材料へ移る。

公式資料:ACMAの意見募集と進捗 · 2026年8月の協議文書 · 現行決定文書(2025年11月1日施行版) · 3G終了後の000通話に関するACMAの説明