要約
- 2014年6月、テロ被害に関する七つの判決債権者がICANNへ差押令状と文書提出命令を送り、
.ir、.sy、.kp、国際化ccTLD、関連IPアドレス情報を対象にした。 - 地裁は、ccTLDが継続サービスから切り離せないためD.C.法上差し押さえられないとした。ただし、ccTLDが財産になり得ないとは判断していない。
- 控訴審ではWeinstein、Haim I、Sternの請求が全面的にforfeitedとなった。残る四判決についてのみ、財産性と国家の持分を仮定し、§1610(g)(3)で非責任第三者の利益を保護した。
まず、どの判決が残ったのか
被害者と遺族は、イラン、シリア、北朝鮮に対して数億ドル規模の判決を得ていた。2014年6月23日と24日、七つの債権者グループはICANNに令状とsubpoenaを送達した。対象はラテン文字と国際化された国家別トップレベルドメイン、それを「support」するIPアドレス情報である。
しかし七件は同じ法的状態ではなかった。Weinstein、Haim I、Sternは旧28 U.S.C. §1605(a)(7)に基づく判決で、現行§1605Aへの転換がなかった。D.C. Circuitはこの三件の執行請求を全面的なforfeitureと扱った。
Haim II、Rubin、Wyatt、Calderon-Cardonaだけが§1610(g)のテロ活動例外を維持した。商業活動例外はforfeited、TRIAは地裁で提起されず、IPアドレス論は控訴でwaivedとなった。したがって、この判決はIPアドレスの財産性を判断していない。
事件名と判断対象は一致しない。Weinsteinの名を根拠に、すべての債権者が第三者利益の本案で敗れたと書くことも、IP資源について判例が成立したと書くこともできない。
令状が前提にしたもの
最初のsubpoenaのSchedule Aは、ICANNがイランやその治安省にTLDまたはIPアドレスの権利を割当て、ライセンスし、譲渡したとする契約・支払・通信資料を要求した。これは探索の語彙であって、契約や権利の存在を認定したものではない。
ICANNは、自らは被告国に債務を負わず、そのgoods、chattels、creditsを持たず、.ir、.sy、.kpの管理者との合意も拠出金の受領もないと答え、令状の取消しを求めた。宣誓供述はICANNの記録上の説明を支えるが、同社の「community」や「stability」に関する自己位置付けまで司法上の事実にするものではない。
債権者の最終的な構想は明白だった。.irの管理を自分たちへdelegationし、その運営を第三者へ売却またはライセンスする。しかし、売却対象とされた運営権には、ICANNだけでは引き渡せない部分があった。
2014年のルート変更は三つの行為だった
控訴判決の歴史的記述によれば、ICANNはccTLDのdelegationまたはredelegationを審査し、勧告した。米国商務省が承認し、Verisignがルートゾーンへ実装した。米国はamicus briefで自らの役割を、手続と技術的誤りを点検する「largely symbolic」なものと表現した。これは政府の評価であり、形式的な承認工程がなかったという意味ではない。
さらに、ccTLD管理者は権威サーバーを運用し、第二レベルの登録データを保持していた。ISPはどのルートを参照するかを決めることができ、国家は国内ISPに別の参照先を命じ得る。勧告、承認、実装、台帳保管、ネットワーク採用は別の権限である。
RFC 1591は管理者を国と世界のInternet communityのためのtrusteeと呼び、公平性、技術能力、利害関係者の合意を求めた。一方で「rights」や「ownership」への関心は不適切と述べる。これはInformational RFCであり、所有権法でも世界的な授権文書でもない。サービス規律を示す語を、代表権の証拠に置き換えてはならない。
地裁が判断したのはD.C.の差押制度
2014年11月10日、Royce C. Lamberth判事は令状を取り消した。Federal Rule 69が参照するD.C. Code §16-544は、債務者のgoods、chattels、creditsを差押対象とする。地裁はVirginiaのドメイン名事件を参照し、ccTLDはそれを作動させる管理者とルートゾーン関係者のサービスから切り離せないと考えた。garnishmentによって債権者を継続的な関係へ挿入することはできない、としたのである。
脚注2は重要な留保を置いた。この制度でattachable propertyでないことは、ccTLDが財産になり得ないことを意味しない。追加discoveryは、その限定的な結論によりmootとされた。
控訴審はD.C.法を経由する方法に留保を示し、それが債権者を妨げないと仮定して連邦法へ進んだ。地裁の理由は、ccTLD一般の物権定義には拡張されていない。
財産性を仮定しても残った障害
本案に残った四判決について、D.C. Circuitは債権者に有利な二つの仮定を置いた。ccTLDがFSIA上のpropertyであり、被告国に差押可能なownership interestがあると仮定した。いずれも「assume without deciding」である。
その上で§1610(g)(3)が働いた。同条は、判決の責任を負わない者の利益が損なわれることを裁判所が防ぐ権限を保つ。裁判所は第三者利益を「enormous」と表現し、損害なしの執行方法はないと判断した。
.irの既存登録者はテロ判決の債務者ではない。現管理者も利用者もネットワークも同じである。ルートの参照先を変えても、海外にある第二レベル登録台帳は移らない。米国裁判所が現管理者に引渡しを強制できるとは限らず、台帳を欠く新サーバーでは既存名が解決しなくなる可能性がある。
「終末シナリオ」は認定ではない
当事者はsplit rootも論じた。旧.irサーバーへ向かうネットワークと、新しいルートに従うネットワークが併存すれば、同じ名前が異なるページを示し得る。ICANNと米国は、安定性やmultistakeholder modelへの壊滅的影響を主張した。
控訴裁判所は、その“doomsday”表現が正確かどうかを決める必要はないと明記した。ICANN自身が判決責任を負わない第三者であり、その利益を保護するだけで足りるとした。その後、既存ルートのnetwork effectsと、裁判所主導の変更がネットワーク離脱の誘因になり得ることを検討した。
この順序を崩すと、当事者の安定性主張が司法認定に化ける。判決はICANNを所有者や主権者と認定していない。
誰が費用を負い、何が固定されたか
債権者は回収の遅延と訴訟費用を負ったが、金額は不明である。ICANNは応答と防御の費用を負った。管理者は交代とデータ移行の圧力に直面した。登録者、利用者、ネットワークは名前解決の停止、不一致、移行の費用を負う可能性があった。判決は既存運用とICANNの位置を守り、結果として被告国もこの執行経路を免れた。
lock-inは一枚の契約ではない。ルート公開と契約が変更経路を集中させ、登録台帳は国外にあり、network effectsが互換性に価値を与えた。代替ルートは技術的に可能でも、経済・政治コストが高い。実効的支配はこの組合せから生じ、確認された所有権から生じたのではない。
より狭い反実仮想は、米国内のgarnisheeが実際に持つ、被告国固有の分離可能な債権や支払を探すことだった。本記録はその存在を示さない。管理移転を行うなら、認証済み台帳escrow、独立した能力審査、既存名の維持、支持と異議の記録、段階試験、rollbackが必要になる。これは継続性設計であって、裁判所にその命令権があったという認定ではない。
番号資源保有者にとって、本件は所有権判例ではなく層の分解例である。登録記録、法的権利、セキュリティ署名、運用台帳、ルーティングや名前解決の採用を混同してはならない。台帳を保護することとgatekeeperを永久化することも別である。community、consensus、stewardship、stabilityは、契約、責任、異議申立てと費用負担者によって検証されなければならない。
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