要約

  • EverBank FinancialはWaFdに吸収され、法的にはWaFdが存続してEverBank Financialへ改称する。その直後、WaFd BankはEverBank, N.A.に吸収され、全米銀行免許はEverBank側に残る。
  • EverBankは会計上の取得企業に指定され、旧EverBank保有者は完全希薄化後普通株の59.175%、取締役13席中7席、会長とCEO職を得る。公正価値評価の対象はWaFdの貸借対照表である。
  • まだ成立した取引ではない。WaFd株主の新株発行承認、FRBとOCCの認可が必要で、固定持分、段階的ロックアップ、4年間の統治保護は成立後の支配を形作る。

消える会社が会計では残る

合併契約の法的な矢印は明快だ。デラウェア州法人EverBank Financial Corpが、ワシントン州法人WaFd, Inc.へ合併する。WaFdの法人格は続き、旧EverBank Financialの法人格は終了する。株式を発行するのもWaFdである。

しかし銀行の矢印は逆を向く。WaFd BankはEverBank, N.A.に合併され、OCCが監督する全米銀行が存続する。上場持株会社はEverBank Financial Corpへ改称し、ナスダックの銘柄記号もWAFDからEVBKへ変える。上場の器はWaFd、預金と融資を収容する免許はEverBank、外向きの名称もEverBankとなる。

会計ではEverBank Financialが取得企業だ。したがって取得日に公正価値へ測り直されるのはWaFdの資産と負債になる。法的に消滅する会社の会計履歴が継続し、法的に存続する会社が会計上の被取得企業となる。

四つの記録は競合していない。会社法は法人格、銀行法は免許、会計は経済的支配、ブランドは顧客が見る名称を扱う。「どちらが買ったか」だけでまとめると、かえって取引を読み誤る。

59.175%が経済の向きを決める

発表資料は39億ドルの逆さ合併と呼ぶが、普通株の対価は現金ではない。旧EverBankの普通株主と株式報酬保有者は、成立直後の完全希薄化後普通株の59.175%を持つ。旧WaFd株主と対象となる報酬保有者は40.825%だ。この割合はWaFd株価が動いても変更されない。

一方、交換比率は最終確定していない。成立時の希薄化後株式数と、オプション計算に用いるWaFd株の10営業日VWAPから算出される。現時点の発行見込みは約1億310万株、オプション込みで約1億770万株。資料上のプロフォーマ株式数は基本1億7710万株、希薄化後1億8200万株である。固定されているのは分け前であり、そのために必要な株数ではない。

EverBankの年6.50%固定・リセット型非累積永久優先株67万5000株は、1株1000ドルの清算優先額を保ちながら、実質的に同等のWaFd新優先株へ移る。これは普通株の議決権とは別の資本請求である。

したがって39億ドルは小切手の額ではない。株価は交付株式の価値を変え得るが、旧EverBank側の過半数は守られる。取引の経済的な方向は、上場会社の普通株支配が旧WaFd側から旧EverBank側へ移ることにある。

取締役会が持分を意思決定に変える

持株会社と銀行の取締役会はいずれも13人となり、旧EverBankが7席、旧WaFdが6席を持つ。EverBank会長Robert Radwayが会長に、EverBank CEO Greg Seiblyが統合会社CEOに、WaFd CEO Brent Beardallが社長に就く予定だ。

成立後4年間は、この配分を守る仕組みが働く。契約で定めたCEOまたは社長の地位を変えたり解任したりするには、取締役会全体の3分の2が必要になる。Stone Point、Warburg Pincus、Reverence Capital、Sixth Street、TIAAなどEverBankの主要投資家は、保有基準を満たす間、条件付きの指名権を持つ。最初に資格を失う投資家の枠をBayviewが引き継ぐ仕組みもある。

これは永久のスポンサー支配ではない。保有基準と期限があり、取締役の義務も消えない。ただし4年間は、基幹システム、支店、人員、与信基準を統合する期間と重なる。最も戻しにくい判断を下す時期に、EverBank側の1席優位が保護される。

株式の売却可能性は段階的に開く。成立30日後に10%、90日後にさらに10%、180日後に40%、1年後に残り40%が解除される。所有権と議決権は先に生じ、流動性だけが遅れる。支配していることと、すぐ売れることは同義ではない。

取得企業の指定が評価対象を決める

会計上の取得企業がEverBankであるため、WaFdの帳簿に取引調整が入る。モデルは成立時のWaFd貸出金に3億1300万ドルの信用マークを置く。予想貸出残高の1.55%、予想引当金の1.45倍だ。さらにWaFd貸出金へ税引前6億100万ドル、証券へ1億4500万ドルの公正価値マーク、コア預金無形資産へ3億5700万ドルを想定する。

影響は初日だけではない。貸出マークは10年、証券マークは4年半かけて収益へ戻る想定で、預金無形資産は別の速度で償却される。将来利益には本業、割引の増価、無形資産償却が混ざる。WaFdが法的に残るから会計上も買い手だと考えると、調整の場所を反対に読むことになる。

両社は発表から成立までの金利リスクをヘッジする方針だ。これは測定点がまだ動く証拠でもある。金利、貸出構成、信用、預金コストが変われば、最終マークも変わる。

経費面では、合計非金利費用の約11%に当たる年1億3500万ドルの税引前削減を見込む。2027年に入るのは40%で、全額のランレートは2028年後半だ。一時費用は税引前2億8000万ドル。2027年EPS約29%増、有形簿価8.6%希薄化、2年のクロスオーバー回復、有形普通株主資本利益率15%超は、すべてこのモデルの出力である。

これらは実績ではない。EverBank側の会計基準点と経営多数が、WaFd側の既存貸借対照表を組み替え、費用を実際に削減できるかを測る仮説だ。

将来の少数側が現在の拒否権を持つ

EverBank株主は契約締結直後、書面同意で承認を済ませた。WaFd株主は新株発行をまだ承認していない。成立後に40.825%となる側が、成立前には59.175%の新多数を生むための重要な拒否権を握る。

FRBは持株会社の組み合わせを審査し、OCCはEverBankの全米銀行免許へWaFd Bankを統合する申請を審査する。ナスダック上場承認、税務意見、法的条件も残る。規制当局の条件が契約上の「重大な負担」に達すれば、成立判断そのものに影響する。

成立は2026年12月31日以前にはできず、目標は2027年第1四半期だ。最終期限は2027年9月6日。特定の解除事由ではWaFdがEverBankへ1億106万629ドルを支払う。一般的な解約価格でも、発生済み費用でもない。

条件が満たされるまで、約750億ドルの資産、580億ドルの貸出、590億ドルの預金、254拠点は2026年6月データに基づくプロフォーマにすぎない。設計図はあるが、統合銀行はまだ存在しない。

名前ではなく台帳を照合する

成立後の名称だけならEverBankが全面的に残ったように見える。法人登記だけならWaFdが買ったように見える。どちらも一部しか示さない。分析では、法的存続会社、銀行免許、会計上の取得企業、普通株、優先株、取締役、経営権、認可、売却制限を別々に記録すべきだ。

認可が遅れれば成立時計が動く。信用マークが変われば会計基準点が動く。取締役が退けば統治配分が動く。投資家が売れば所有構造が動く。一つの変化がすべてを同時に変えるとは限らない。

WaFdは法人を残す。EverBankは存続法人の方向を支配する。この二つを同時に保持することが、逆さ合併を読む最短の方法である。