要約

  • Truecaller は9月10日に TextPlus の全株式を取得したと発表した。現預金と負債を除く評価額は1500万ドルで、TextPlus のブランドは維持する。
  • 第二番号は継続して使えることに価値がある。月間アクティブ利用者約150万人を、そのまま買い手の純増顧客として扱うことはできない。

一度連絡先として伝えた電話番号は、アプリを入れ替えるようには変えにくい。Truecaller にとって TextPlus の買収は、別の商品を紹介できる相手を増やすだけでなく、その番号を使い続けたい利用者との関係を引き受ける取引となる。

9月11日の完了発表によると、全株式の取得は前日に完了した。1500万ドルは現預金と負債を除いた評価額であり、最終的な現金決済額が正確に開示されたわけではない。TextPlus は独立した会社とブランドとして運営を続けるが、所有者は変わった。

番号の維持も商品の一部

TextPlus の機能紹介では、専用の第二番号、Wi-Fi やモバイルデータを使う通話、米国・カナダの番号へのメッセージ送信が説明されている。受信側が同じアプリを入れる必要はない。無料と有料の選択肢があり、番号を維持するには利用を続けるか、非利用による回収を防ぐ Premium の保護を使うよう案内する。

2025年9月1日改訂の公開利用規約は、その継続性に条件を設けている。番号は提供者やその供給元が管理し、無料アカウントの非利用や契約終了などで回収される場合があるという。また、固定・携帯電話を完全に代替するサービスではないと明記する。これは掲示されている条件の説明であり、買収に伴う規約変更や障害が起きたことを示すものではない。

Truecaller はすでに発信者識別や迷惑通信対策に加え、通話とメッセージ機能を提供する。今回初めて音声通信に進出したという整理は正しくない。米国を拠点とする既存の第二番号サービスと、そのアカウント、支払い、継続利用の関係を取り込んだ点が違いとなる。

利用者数より中身を見る

発表では TextPlus の月間アクティブ利用者は約150万人、従業員は14人とされる。ただし、有料利用者の人数、米国在住者の割合、Truecaller との重複は分からない。両社の公表利用者数を足して新しい到達規模とする根拠はない。

7月17日の買収合意発表では、2026年5月までの12カ月の調整後純売上高を520万ドル、2023年以降の年平均成長率を約45%とし、収益性を良好と評価していた。調整後純売上高は利益額ではなく、この過去期間を9月の業績に読み替えることもできない。

相互販売、利用者獲得の改善、Android と iOS の知見共有は、7月時点で掲げた狙いだ。買収完了はその達成を意味しない。完了発表は連結開始日を9月9日、取引完了日を10日としているが、この日付の差について説明していない。