要約

  • IESG承認済みのBGP-EPE拡張は、レイヤー2バンドルの個別物理メンバーに対するPeerAdj SIDまたはEnd.X SIDをBGP-LSで広告できるようにする。
  • 広告はメンバーがupでSIDが転送用にプログラム済みという時点情報を提供する。現在容量、順序維持、MC-LAGの安全性、実トラフィック結果、利用許可までは保証しない。

論理リンクの下を選べるようにする

BGPセッションがLAG上にあっても、レイヤー3からは一つの論理インターフェースに見える。従来のPeerAdj SIDはそのバンドルへ送る命令であり、物理メンバーの選択はバンドル側の分散に残る。

2026年8月6日に承認された文書は、親のBGP-LS Link NLRIとメンバー情報を分ける。親は論理バンドルを示し、各L2 Bundle Member Attributes TLVは物理メンバーと、そのメンバー専用のSR-MPLS PeerAdj SIDまたはSRv6 End.X SIDを示す。

TLVがあることはメンバーが運用上upであるという広告を意味し、SIDがあることは有効で転送にプログラム済みだという広告も意味する。ただし、その意味は広告時点に限られる。帯域予約や到達保証ではない。

更新と撤回も証拠である

SIDが変わる、無効になる、管理上停止される場合、広告は更新されなければならない。メンバーが故障するかバンドルから外れた場合は、そのメンバーTLV全体を撤回する。

短いフラップを抑えるhold-offは許される。安定したdownや削除の後は撤回をさらに遅らせられない。受信側はspeaker、セッション、受信時刻、状態年齢、撤回の欠落を監視する必要がある。値だけのトポロジーデータベースでは、過去の正しさを現在の命令に変えてしまう。

また、運用者はメンバー広告を抑制し、親SIDだけを公開できる。観測できないことは物理的不存在の証明ではなく、開示粒度の選択かもしれない。

順序と分散はコントローラの責任

特定フローを物理メンバーへ固定すると、バンドル本来の分散が崩れる。一つが混雑し、他が空くこともある。文書は利用率監視と再割当をコントローラやポリシーエンジンの責任としている。

メンバー間の遅延差は順序にも影響する。同一フローをパケット単位で分けるべきではなく、五つ組など不変の分類で一つのメンバーに保つ必要がある。障害や再平衡による移動では、すでに飛んでいるパケットが逆順になる可能性が残る。

したがって監査にはSIDだけでなく、ポリシー版、分類、各メンバーの利用率、キュー、損失、遅延、実際の出口カウンタ、受信側の順序観測が要る。設定成功とサービス成功は別である。

信頼ドメインにも権限境界がある

メンバー情報は信頼されたSRドメイン内、または信頼されたピアリングドメイン間に限定し、BGPポリシーで漏えいを防ぐ。だが、内部で受け取れることは容量を使う権利と同じではない。

MC-LAGのループ防止は定義されず、下位のL2/LAGが無ループであることを前提にする。正確なSIDを知っていても、この前提を確認できなければ安全な利用判断にはならない。

薄い役割分担を維持すべきだ。ルータはメンバーを報告し、テレメトリは状態を測り、コントローラは提案し、ポリシーが許可し、データプレーンが結果を返し、運用者がロールバックする。共通命令を標準化しても、損失を負う者の決定権までは渡さない。

実装記録を過大評価しない

承認文書には二つの申告実装が記録される一方、独立検証済みではなくIETFの製品推奨でもないと明記される。実装は、メンバー識別とSID広告が動くコードになり得るという成熟度の証拠である。

しかし、別の導入環境で同じ版が撤回を正しく扱うこと、アップグレード後も親とメンバーを混同しないこと、必要なテレメトリを提供することまでは証明しない。採用側は版、capability、再広告、データプレーンcanary、親SIDへの復帰を自分で確認する必要がある。

SR-MPLSのPeerAdjとSRv6のEnd.Xは同じメンバー境界を表せても、符号化と運用経路は同一ではない。一方の合格を他方へ流用しない。

出典