要約

  • RADCOMによると、VNPTは競争入札を経てローミング向けのサービス品質保証基盤を選定した。この契約は8月公表の3件に含まれ、追加の4件目ではない。
  • 複数クラウドへの導入計画は、全ネットワークの受注を意味しない。契約金額、検収時期、実際の品質改善は明らかになっていない。

受注件数より、何が分かったか

9月9日のRADCOMの発表は、既存の受注情報に顧客名と業務範囲を加えたものだ。ベトナムの通信事業者VNPTが、ローミング網のサービス品質保証にRADCOM ACEを採用する。RADCOMは競争入札で選ばれ、既存の仕組みを置き換えるとしているが、従来の供給元は明かしていない。

重要なのは、この案件が8月12日に公表された四半期末後の3件の契約の一つだと、会社自身が記している点である。今回の発表を別の受注として足せば、同じ契約を二重に数えてしまう。9月9日の発表で広範なVNPT網への展開は将来の機会とされており、全網を対象とする発注が確定したわけでもない。

導入先は複数のクラウド環境で、加入者ごとの状況把握や機械学習による異常検知を提供する計画だという。ただし、これは供給元が述べる計画と機能であり、VNPTでの導入完了や性能検証の報告ではない。金額、契約期間、検収日、この契約から認識した売上高は公表されていない。

ローミングという限定された入口

ローミングでは、利用者の体験が一社の運用範囲だけでは完結しない。自社の契約者が他社網を使う場合もあれば、訪問者が自社網を使う場合もある。問題が起きた際、どの区間や相手先に確認すべきかを判断するには、組織をまたぐ状況を把握する必要がある。

RADCOMのローミング製品の説明には、訪問側と受け入れ側の利用状況、国別・事業者別の分析、提携先とのサービス水準を確認するための情報が挙げられている。専用の品質保証を調達する意味はここにある。ただし、説明ページからVNPTの対象提携先や具体的な連携構成を割り出すことはできず、特定のサービス水準合意が改善したとも言えない。

製品の広さと購入の広さを切り離す理由はもう一つある。RADCOM ACEはモジュール型で、ローミングのような特定部門にも提供できると説明されている。より広いネットワークを扱える製品でも、最初の契約は限られた業務だけということがあり得る。拡張可能な設計は追加提案の余地を作るが、追加予算の承認を代行しない。製品広告の改善率も、この契約の成果として扱うべきではない。

クラウド型でも顧客の準備を待つ

RADCOMの第2四半期売上高は1,180万ドルで、前年同期の1,770万ドルから33.4%減少した。8月12日の決算発表で経営陣は、部材価格や供給制約が一部顧客の導入に必要な基盤整備を遅らせ、購買判断にも遅れがあったと説明している。

これは経営陣による当期の説明であって、先送りされた売上が必ず戻るという保証ではない。また、遅延がVNPTによるものだとは記していない。従って今回の契約を過去の減収原因に結び付けたり、減収が解消した証拠にしたりするのは早計だ。

ソフトウェアがクラウドネイティブであっても、顧客側の導入日程から自由になるわけではない。選定、実装、運用上の受け入れ、売上への寄与は別々の段階である。今回明確になったのは購入主体とローミングという対象業務だ。実施の速度と、次の領域への発注は、今後の証拠で確かめる必要がある。