要約
- ネパール政府が任命した4人の調査委員会は、Nepal Television の衛星帯域調達における不備で2億617万3469ネパール・ルピー(NPR206,173,469)の損失が生じたと推計した。
- 委員会が指摘したのは、新たな競争入札を行わない契約延長、サービス開始前の支払い、開始後の過払い、予定価格の水増し、必要量を超える帯域の購入などだ。
- これは行政調査委員会の報告であり、裁判所の判断ではない。公開情報では事業者名が明らかにされておらず、個人の責任も確定していない。今後どの措置を取るかは所管省の判断に委ねられる。
Nepal Television (Public Service Broadcasting Nepal)の衛星利用料を巡り、単なる会計上の修正では済まない規模の数字が示された。情報通信省(Ministry of Information and Communications)が設置した調査委員会は、衛星帯域の調達上の不備によって同局に NPR206,173,469の損失が生じたと推計した。委員会は7月17日、Dr Bikram Timilsina 情報通信相に報告書を提出した。OnlineKhabar のネパール語報道が伝え、Republicaも主要な内容を確認している。
ただし、この金額は委員会の推計であって、裁判所が認定した損害額でも、供給事業者から回収済みの額でもない。現時点の報道には報告書全文が掲載されておらず、衛星サービスの提供事業者も特定されていない。Nepal Television、事業者、調査対象となった意思決定に関わる職員らの見解も紹介されていない。それでも、委員会が損失につながったとみる調達上の問題は、かなり具体的に伝えられている。
競争の代わりに、既存事業者の条件で契約を継続
委員会は、苦情、ネパール会計検査院の指摘、国民的な関心を受けて6月5日に設置された。Nepal Television 自身による設置時の報道によると、委員長は技術者の Dr Aabhas Maskey で、Umesh Rupakheti、Tikaram Karki、Navin Kumar Mishra の3氏が委員を務めた。過去の衛星サービス契約、サービス拡張、技術変更、機器調達を調べ、21日以内に提言をまとめるのが任務だった。
二つの報道機関が伝えた報告書の要旨によれば、Nepal Television は新たな競争手続きを行わず、従来の料金で契約を延長していた。サービス開始前に利用料を支払い、開始後には本来の額を上回る請求に応じたほか、予定価格を過大に見積もり、必要量を超える容量を購入したともされる。2012年には、技術審査で不合格になった入札者が、サービス提供者として選ばれたという。
こうした指摘は、手続き違反だけでなく、調達に働くべき規律が失われていた可能性を示す。競争入札は、帯域価格や容量、契約条件が市場実勢に合っているかを買い手が確認するための仕組みだ。既存事業者との契約を以前の料金のまま延長すれば、その価格発見の機会は失われる。提供前の支払いは、資金負担と履行リスクを供給側から放送局側へ移す。実需を超える容量は、当初は余裕分として説明できても、継続的な固定費になりかねない。これらの行為だけで不当な動機が証明されるわけではないが、費用対効果の悪化を見えにくくし、後から是正する費用を大きくする組み合わせではある。
設計寿命が迫る衛星への追加発注
委員会によると、Nepal Television は利用中の衛星が設計寿命の終盤に近づくなか、同じ事業者からさらに10 MHz を購入する契約を結んだ。公表された要旨だけでは、その衛星でサービスが継続したのか、別の衛星へ移行したのか、早期の技術変更に備えた契約上の保護があったのかは分からない。したがって、購入した容量自体に障害が起きたと結論づけることはできない。
一方で、この判断が運用面でも重要だった理由は明らかだ。公共放送が衛星容量を確保する目的は、全国向けのチャンネルを途切れさせないことにある。サービスの継続は付随的な利点ではなく、契約の中心そのものだ。委員会は、取締役会レベルの注意義務の欠如を、2022年6月6日に Nepal Television の全チャンネルが約30分間停止した事案と関連づけた。また、外部から任命された取締役に対して上級管理職が正確な情報を提供せず、省と放送局の技術職員も責務を十分に果たさなかったとした。
直接の負担者は、現在 Public Service Broadcasting Nepal の一部となっている Nepal Television だ。しかし影響は公共サービスの予算全体に及ぶ。不要な容量、時期尚早の支払い、根拠が十分でない請求に充てられた資金は、番組制作、設備更新、配信網の強靱化には使えない。委員会はさらに、税金や政府口座へ納めるべきその他の歳入に関する義務が完全には履行されていなかったとも報告している。問題の範囲は放送局内部の帳簿だけにとどまらない。
報告書の提出で始まる説明責任の検証
委員会は、2012年の当初契約から、その後の追加契約までの意思決定を検証したとされる。そのうえで、上級管理職と取締役会の関係者が組織の利益に反する判断をしたと結論づけ、責任を負う者に対して法令に基づく必要な措置を始めるよう政府に勧告した。
もっとも、勧告は個人の法的責任を確定するものではない。公開報道からは、次にどの機関が調査するのか、報告書が正式にどこかへ付託されたのか、関係者の回答期限がいつなのかも分からない。2022年の放送停止との関連も委員会の見解として報じられたもので、技術ログによる独立検証は確認できていない。
次に注視すべき証拠は、手続きの進展だ。所管省は報告書を公開し、契約と相手方を特定したうえで、NPR206.17 million という推計の算出根拠を示せる。名指しされた関係者からの回答を求め、調達、監査、懲戒、刑事手続きのどこへ案件を送るのかも明確にできる。Nepal Television 側には、競争入札、容量需要の予測、請求書の照合、衛星寿命に伴うリスク管理をどう改めたかを説明する余地がある。
それまでは、この損失推計を重大ではあるが未確定の行政上の判断として扱う必要がある。問われているのは、衛星容量が必要だったかどうかではない。公共機関が、1 MHz ごとの容量、1件ごとの支払い、1回ごとの契約延長について、全国放送を経済的かつ安定的に維持できるだけの競争と技術的検証を行ったと証明できるかどうかである。

