要約
- KDDI は7月28日19時30分の更新で、熊本県八代市と人吉市の影響地域の一部にフルローミングを追加した。
- au、UQ mobile、povo、KDDI 網を利用する MVNO で、緊急通報を含むサービスが利用できない、または利用しにくい状態だった。
- 原因として、地震による基地局の停電と基地局までの伝送路の故障が挙げられた。
- 端末に JPN-ROAM と表示される場所では、他社4G LTE を介して音声、緊急通報、SMS、上下最大300kbps のデータを使える。
- Android ではデータローミングの有効化が必要な場合があり、一部端末は手動選択も要る。利用件数や成功率は未公表だ。
緊急ローミングは、通常の契約網を信頼できなくなった瞬間のためにある。熊本では、日本の携帯5社が準備した共同制度がその瞬間を迎えた。
地震は日本時間16時27分ごろに発生した。気象庁の記録はマグニチュード7.1、深さ約10キロ。政府は宇城市氷川町で最大震度7、九州の広い範囲で強い揺れを報告した。
地震そのものは今回の凍結時間帯より約66分前である。時間帯内の新しい出来事は、19時30分の KDDI 更新で、2市の一部にフルローミングが提供されたことだ。
全国の制度が地域の回線になった
携帯5社は3月に JAPAN Roaming を発表し、4月1日から利用可能とした。大規模災害や重大障害で契約先の網が損傷した場合、他社の4G LTE へ一時的に接続できる。
制度の設計は全国共通だが、今回の起動範囲は全国ではない。KDDI が挙げたのは八代市と人吉市の一部で、利用者の場所に提供側事業者の電波と余力があることが前提になる。
「全国緊急ローミング」は事業者間の運用契約を表す。日本中の全端末が切り替わったことや、対象2市の全ての道路に代替電波が届いたことを表す言葉ではない。
フルモードは最低限の通信を残す
フルローミングでは、通常の音声、緊急通報、SMS、上下最大300kbps のデータを提供する。損傷前と同じ4G や5G 体験を再現するのではなく、重要な通信の床を残す仕組みだ。
300kbps なら、文字、軽いウェブページ、基本的な連絡を運べる。ただし無制限のブロードバンドではない。混雑、電波状態、アプリの挙動によって、実際に完了できる作業は変わる。
制度には緊急通報だけのモードもあるが、KDDI は今回フルモードを明記した。被害、影響人数、通信設備の状態に応じて起動方式を選ぶ。
JPN-ROAM の表示は出発点にすぎない
KDDI は端末に JPN-ROAM が表示されることを案内した。Android のデータ通信ではローミング設定を有効にしなければならない場合があり、機種によってはネットワークを手動で選ぶ必要もある。
端末互換性、ソフトウェア、設定が、実質的な「圏内」の条件になる。別会社の顧客管理と無線網をまたぐ以上、技術的な手順には理由がある。しかし、揺れや停電、緊急通報に直面する人に設定変更を求めることは、別の障壁を作る。
次の設計改善は、操作を減らし、安全上の案内を見落とせなくすることだ。災害時の代替手段は、説明書なしで入れるほど強い。
提供開始と通信成功は同じではない
KDDI の告知は、起動と機能を確認する。接続した端末数、利用した提供網、完了した緊急通報、SMS の遅延、データの実効性は報告していない。
2市のうち各時点で何割を覆ったかも分からない。代替経路を作れたことは制度的準備の証拠だが、影響を受けた全利用者の通信が戻った証拠ではない。
今後は、端末別登録成功率、接続までの時間、緊急通報完了率、SMS 配信時間、データ作業完了率、提供側基地局の負荷、手動操作が必要だった割合を測るべきだ。
障害領域はブランドではなく物理設備で決まる
KDDI は基地局の電力と伝送路の故障を原因に挙げた。他社網への迂回が機能するのは、その事業者側に電力、バックホール、無線容量が残っている場所だけである。
複数社が同じ管路、電源、被災地域を共有すれば、商業的な独立は技術的な多様性を保証しない。共通障害領域を把握し、急増する利用者を受け入れる容量を確保する必要がある。
熊本の起動は、制度が実災害の運用経路になった点で重要だ。評価基準は起動の有無から、完了した通話とメッセージへ進まなければならない。

