要約

  • IETFは8月19日09:22:08 UTC、BGP-LSでAS間トポロジーを取得する提案の第38版を公開した。第37版からの実質的な本文変更は、Inter-AS Link記述子のリストからMulti-Topology Identifier(TLV 263)を削除した1点である。
  • MT-IDそのものがBGP-LSから廃止されたわけではない。新しいNLRIの識別材料が変わるため、移行時の撤回、重複排除、非デフォルト・トポロジーの区別を実装で確認する必要がある。

BGP-LSのコンシューマーが受け取るのは、物理リンクではなく、リンクを表す複数のフィールドである。別々のASから届いた2つの一方向表現を同じ論理リンクとして結び付けられるかどうかは、そのフィールドに依存する。

Datatrackerの履歴によると、draft-ietf-idr-bgpls-inter-as-topology-ext-38は8月19日09:22:08 UTCに公開された。公式の第38版と第37版を構造単位で比較すると、版番号と日付以外の本文変更はTLV 263の行を取り除いたことだけだった。

この提案が埋めようとしているのは、IGPドメインの境界である。RFC 9552のBGP-LSは、各IGPドメインのトポロジーをSDNアプリケーションなどへ渡せる。しかし、1つの事業者が複数のIGPドメインと複数のASを運用する場合、コントローラーは各ドメイン内の地図を得ても、それらを結ぶAS間リンクを欠くことがある。

草案はそこで、タイプ7のInter-AS Link NLRIを提案し、相手AS番号、相手側ASBRのIPv4識別子、IPv6識別子を表すTLV 270〜272を定義する。リンクの両端はそれぞれ一方向のハーフリンクを広告し、コントローラーが2つを対応付けてドメイン間の地図を接続する。

第37版の追加記述子リストには、リンクのローカル/リモート識別子、IPv4のインターフェース/ネイバーアドレス、IPv6の同等フィールド、そしてMT-IDが並んでいた。第38版はIPv6ネイバーアドレスで終わる。一方、その直後にある注意は残ったままだ。ほかのTLVを記述子として使うと、プロデューサー実装が異なる場合に2つのハーフリンクの相関が難しくなり得るという。

変更範囲を広く言い過ぎてはいけない。RFC 9552は現在もTLV 263をMulti-Topology Identifierとして定義している。通常のLink NLRIでは、基になるIGPリンクが非デフォルト・トポロジーに属するときMT-IDを含め、トポロジー識別子ごとに別のNLRIを生成するよう求める。第38版のSecurity Considerationsにも、MT-IDは重要なネットワーク情報として残っている。

変わったのは、新設するInter-AS Link NLRIの記述子契約である。第37版に合わせたプロデューサーはTLV 263を識別キーに入れ、第38版に合わせたものは入れない可能性がある。コンシューマーが両者を別のキーと見なせば、同じハーフリンクが二重に残る。逆に安易に統合すれば、異なるトポロジーに属するリンクを区別できない恐れがある。

移行時の基本動作はRFC 9552に明記されている。Link-State NLRIのTLVを追加、削除、変更するとき、プロデューサーは古いNLRIを撤回しなければならない。そうしなければ、重複または不整合なリンク状態オブジェクトがBGP-LSテーブルに残り得る。これは第38版の試験項目であり、実運用で障害が起きたという報告ではない。

レジストリとの整合も完了していない。8月19日に確認した時点で、IANAのBGP-LSパラメーターは最終更新日を8月7日と示し、タイプ7をStub Link NLRIと呼んで第17版を参照していた。第38版での名称はInter-AS Link NLRIである。TLV 270〜272の名称は相手AS番号と相手ASBR識別子に対応しているが、参照先は同じく第17版のままだ。

Datatrackerの状態ページでは、文書はProposed Standardを目指し、IESGへ提出済みで、状態はAD Followupとなっている。IANAレビューはVersion Changed - Review Needed、専門家レビューはExpert Reviews OKである。まだRFCではなく、ベンダー対応や相互接続性を示す結果も掲載されていない。

情報管理も同じ設計の一部だ。草案は1つの運用主体が複数ASを持つ「walled garden」を想定し、リンク識別子、アドレス、AS番号、MT-IDなどを重要情報と位置付ける。内部に限定するか、外部へ出る前にフィルターするよう勧告している。自動化に役立つ精密な地図は、そのまま保護対象でもある。

第38版を評価するなら、文書の更新だけで終えてはならない。旧キーの撤回、新キーが1つだけ残ること、2つのハーフリンクが正しく結び付くこと、非デフォルト・トポロジーが混ざらないこと、そしてトポロジー情報が管理境界を越えないことを確認して初めて、運用上の意味が定まる。

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