要約

  • 2027年度第2四半期のHSA現金の平均年率は3.83%、会員に帰属した利息の平均年率は0.26%だった。単純差は3.57ポイントで、前年同期より30ベーシスポイント広がった。
  • 379億2100万ドルのHSA資産は会員が所有する。内訳は現金173億6900万ドル、投資205億5200万ドルであり、二つの金利が対象とするのは現金だけである。
  • 保険会社との契約は毎年約10%ずつ再価格設定され、預金取扱機関との契約は通常3~5年続く。将来の配置には米国債先渡しも使われるため、市場金利が収益に届くまでには複数の時計がある。

大きな残高より先に所有者を確認する

2026年7月末、HealthEquityは1070万のHSAを管理し、その残高を379億2100万ドルの「HSA Assets」と報告した。しかし、これは同社の運転資金でも預金でもない。会員のために保管するカストディ資産であり、所有権は会員にある。

しかも一つの残高ではない。HSA現金は173億6900万ドル、提携する投資カストディアンが保有するHSA投資は205億5200万ドルだった。単純計算で現金45.8%、投資54.2%である。3.83%と0.26%を379億ドル全体に掛ければ、値動きのある投資残高を現金金利の分母に混ぜることになる。

前年からの増え方も対照的だ。HSA資産全体は14%増えたが、現金は2%増、投資は28%増だった。拠出、投資資産の時価上昇、現金から投資への振り替えが同時に起きている。総資産の伸びだけでは、カストディ収益の基礎残高がどれだけ増えたか分からない。

別に管理すべき残高は二つある。HealthEquity自身の現金・現金同等物は2億5600万ドル。補完的福利口座の支払いに備えて顧客が預けたClient-held fundsは9億3100万ドルだった。後者からもカストディ収益は生じるが、会員のHSA現金ではない。会社資金、顧客の前払い資金、会員のHSA現金を一つの「現金」にまとめると、誰の資産で誰がリスクを負うのかが消える。

カストディ収益は四半期売上高の半分

第2四半期の売上高は3億5073万2000ドルだった。内訳はカストディ収益1億7593万6000ドル、サービス収益1億2444万4000ドル、インターチェンジ収益5035万2000ドル。BTWの計算では、カストディが50.16%を占める。

仕組みは銀行預金の単純な転送ではない。HealthEquityはノンバンク・カストディアンとして、会員の現金を二系統のパートナーに配置する。Enhanced Ratesでは保険会社の団体年金契約などを使い、Basic Ratesでは連邦預金保険の対象となる銀行や信用組合を使う。パートナーが平均残高に対して提示する契約利回りが、同社のカストディ収益の主要部分になる。

HSA現金の平均年率は前年同期の3.51%から3.83%へ上がった。会社はEnhanced Ratesの利用拡大と、より高い利回りでの預金取扱機関への配置を主因に挙げる。一方、四半期平均のHSA現金は2%増の173億8800万ドルにとどまり、カストディ収益は10%増えた。今四半期は残高量よりも価格と配置構成の影響が大きかった。

会員側の平均年率も0.24%から0.26%へ上昇した。この金利は残高階層によって異なり、算式または必要な通知を経て変更できる。したがって0.26%は全会員に一律適用された店頭金利ではない。

二つの平均値を引けば3.57ポイントで、前年同期の3.27ポイントから30ベーシスポイント拡大した。これは粗い金利関係の方向を示す分析値である。会社が開示した利ざやでも純利益率でもない。

カストディ収益にはClient-held fundsからの収益も入る。カストディ原価1208万3000ドルには会員利息だけでなく、預金取扱機関との契約獲得を支援する銀行コンサルタントへの手数料も含まれる。さらに契約ごとの残高と金利は非開示だ。三つの理由により、3.57ポイントから損益計算書を直接再現することはできない。

利回りを決めるのは二種類の契約時計

保険会社とのEnhanced Rates契約は期間の定めがなく、その中の資産は毎年およそ10%ずつ再価格設定される。預金取扱機関とのBasic Rates契約は通常3~5年で、固定または変動金利を持つ。政策金利が変わっても、全残高の収益率が翌日一斉に変わるわけではない。

2026年度末にはEnhanced RatesがHSA現金の58%を占め、1年前の49%から上昇した。HealthEquityによれば、保険会社から得る利回りは一般に預金取扱機関より高く、Enhanced Ratesを選ぶ会員の利回りもBasic Ratesより高い。移行は会社だけが得をする一方向の仕組みではない。

ただし、移行には会員の選択権が残る。Basic契約の満期後、対象現金はEnhancedへ移る見込みだが、会員はBasicにとどまる権利を持つ。初期設定を設計するのは会社でも、資産の所有者と選択主体は会員である。

満期表には次の価格改定地点が見える。HSA現金のうち167億ドルは年度別の再価格設定予定が示され、現在の加重平均年率は3.9%。ほかに7億ドルの変動金利契約がある。

2027年度の残り期間には、現在平均1.5%の23億ドルが再価格設定される。このブロックがより高い条件で更新されれば収益に追い風となるが、更新時の国債曲線、パートナーの資金需要、契約容量、会員金利の競争によって結果は変わる。

遠い満期も無視できない。2030年度より後に再価格設定される78億ドルは現在4.4%である。市場金利の低下局面では古い高利回りを保つ盾になり、上昇局面では新しい高利回りの取り込みを遅らせる。長期契約は安定装置であると同時に遅延装置だ。

3.93%のヘッジは将来利回りの保証ではない

HealthEquityは将来のHSA現金配置に伴う基準金利リスクの一部を、米国債先渡しでヘッジしている。7月末には23本、名目額30億3500万ドル、加重平均の指示金利3.93%で、決済時期は2026年8月から2029年1月だった。

この3.93%を次のHSA現金利回りと読むことはできない。先渡しが固定するのは選択された将来配置の米国債ベンチマークである。保険会社・預金取扱機関が提示する上乗せ、決済時に配置できる現金、会員に残す金利、Basicに残る比率は別に決まる。

会計上の時期も異なる。公正価値の変化はいったんその他の包括利益に入り、対象取引がカストディ収益に影響する時点で組み替えられる。会社は、既存の先渡しによる純損失610万ドルが今後12カ月でカストディ収益へ振り替えられると見積もった。会員口座から610万ドルが失われたという意味ではない。

必要なのは、市場ベンチマーク、ヘッジ結果、パートナー契約利回り、会員帰属金利を順番に結ぶことだ。現状の開示は両端を見せているが、契約コホート別の接続表までは示していない。

匿名のままでも作れるスプレッド表

パートナー名を公開しなくても説明力は高められる。Basic、Enhanced、変動金利に分け、期首残高、拠出、引き出し、投資への移動、満期更新、移行、会員の選択でBasicに残った額を示せばよい。

収益側ではHSA現金とClient-held fundsを分離する。原価側では会員利息とコンサルタント手数料を分離する。ヘッジ側では名目額、決済、包括利益からの振り替えを対象契約と対応させる。この表があれば、一ドルの会員資金について、誰が所有し、誰が保有し、いつ金利が変わり、会員と会社にどう配分されたかを追える。

これにより、スプレッド拡大の質も判別できる。低利回り契約の更新、Enhanced比率の上昇、会員金利改定の遅れ、顧客前払い資金の変動金利、ヘッジ会計のどれが寄与したのか。それぞれ持続期間もリスクも異なる。

判断

HealthEquityのカストディ事業は強い。四半期売上高の半分を生み、HSA現金のパートナー利回りは会員帰属金利より速く上昇し、二つの平均値の単純差は3.57ポイントに広がった。

同時に、その差は未完成の粗い指標である。資産は会員のもので、半分以上は投資に置かれている。BasicとEnhancedは選択権も期間も異なり、Client-held funds、直接原価、ヘッジ会計が別の分母と時計を加える。

市場が追うべき問いは引き算ではない。次の契約更新、次の会員金利改定、次のイールドカーブ変化を経た後にも3.57ポイントのどれだけが残るのか。HealthEquityは収益機構を示した。次に必要なのは持続性を検証できる橋である。

出典