要約

  • AS10206 の登録と複数の観測は、China Unicom Zhongwei Cloud というネットワーク上の主体が現に経路を広告していることを示す。ただし、それだけでは AS4837 と AS9929 の物理的に独立した二重経路、ルーターの設置棟、顧客ポート、光路や管路の分離までは証明できない。
  • 中衛の園区には、試運転中の760ラックから、稼働5棟、納入済み8,000超、DC6 の1,992ラック・約29 MW という段階的な運用証拠がある。しかし、計画、上棟、機械設備引き渡し、送電、受け入れ、販売、搭載、空き、障害時予備は別の状態であり、公表総数を販売可能容量として扱うことはできない。
  • 買い手は、契約主体、対象棟とホール、ラック密度、常用・予備電源、光ファイバー経路、交換部品、修理時間、別地域の復旧先、データ持ち出し試験を一つの証拠表に結び付ける必要がある。中衛に置かれること自体は、復旧性、可搬性、データ所在の全条件を満たす保証ではない。

購入対象は「園区の規模」ではなく、名前を付けられたサービスである

China Unicom Zhongwei Cloud について、最初に確かめるべき二つの事実は肯定できる。第一に、AS10206 という自律システムは登録上だけの空箱ではなく、インターネット上で経路が観測されている。第二に、寧夏回族自治区中衛市のデータセンター園区は、複数年にわたる建設記事、許認可、稼働報告によって、現実の運用拠点として確認できる。この二点は、買い手が架空の設備を相手にしているという種類の疑いを小さくする。

だが、二つの確かな点を一本の線で結ぶ公開資料がない。AS10206 のあるプレフィックスが、どの建物のどのルーターから広告され、どの顧客ポートに渡り、どの電力系統と冷却区画に支えられているのかは分からない。サービス名称、自治システム番号、土地使用者、建設主体、回線運用者、クラウドの販売窓口が同じ企業集団に属していても、契約責任と物理的な故障領域が自動的に一致するわけではない。

この違いは細かな法務論ではない。障害が起きたとき、顧客が必要とするのは「中衛に大規模な設備がある」という説明ではなく、自分の負荷を載せたラックへ誰が入室し、どの部品を何時間以内に交換し、どの回線を切り替え、どこへ復元するかという実行可能な回答である。販売時の総ラック数は、その回答の代わりにならない。以下では、経路、園区の里程標、ラック計算、電力、冷却、障害、復旧、データ所在を意図的に分け、それぞれについて公開証拠が届く地点と届かない地点を示す。

一つの呼び名の下にある複数の主体を分ける

APNIC の AS10206 登録は、CUZW-CN を China Unicom Zhongwei Cloud と記載し、国を中国とし、AS4837 と AS9929 に関する経路方針を中国聯通の管理構造の中に置いている。これはネットワーク上の識別子と管理関係を示す強い証拠である。一方で、AS 番号は法人登記ではなく、顧客契約書でもない。登録窓口の所在地はトラフィックの通過地点を示さず、経路方針は個々の物理回線が現在開通していることを示さない。

物理事業については、第二データセンター園区の土地使用許可が、中国聯合網絡通信有限公司寧夏回族自治区分公司を土地使用者として挙げ、150ムーの敷地と3棟および付帯工事の計画を示している。電力関係の記録には寧夏分公司または中衛市分公司が事業主体として現れる。これらは、支店が土地、建物、変電設備の事業責任を負うことの証拠になるが、AS10206 に接続する全顧客が同じ法的主体から同じ条件で買うことまでは証明しない。

したがって、China Unicom Zhongwei Cloud、China Unicom の親組織、全国バックボーンの AS4837、別の経路方針を持つ AS9929、寧夏の省内網、China Unicom Cloud というサービス名、国際業務を一つの運用主体として扱うべきではない。さらに、寧夏西雲数據科技または AWS 寧夏として観測される AS135629 も別のネットワーク主体である。同じ地域で接続関係が見えても、資産の所有、同じ建物への収容、復旧容量の共同利用を意味しない。

調達文書では、短い呼び名ではなく、請求、回線、ラック、機器保守、遠隔作業、バックアップ、データ消去について責任を負う法人の正式名称を列挙する必要がある。下請けや別サービス部門が重要な機能を担うなら、その存在、通知義務、障害時の指揮系統も明記されるべきだ。名前の曖昧さを残したまま可用性だけを数値化すると、事故時に「建物は動いていたが契約対象のサービスは止まった」という責任の空白が生まれる。

AS10206 の経路は生きているが、光ファイバーの二重化は見えない

Hurricane Electric の AS10206 観測には IPv4 と IPv6 の起点プレフィックスが現れ、表示された経路では RPKI の起点状態と AS4837 との隣接が確認できる。IPinfo の AS10206 概要も、アドレスの利用、上流・下流の関係、応答するアドレスを観測している。これらを合わせれば、AS10206 が登録だけで眠っているのではなく、現に外部から見える経路面を持つという判断は妥当である。ネットワーク証拠の評価を「中」とする理由は、存在が弱いからではなく、物理的な対応関係が不足しているからだ。

一つのプレフィックスに絞ると、IPinfo の103.251.240.0/24観測は寧夏の割り当て文脈と、AS4837 を通って AS10206 内のアドレスへ至る測定経路を示す。BigDataCloud の同じ/24の観測も、AS10206 を起点、AS4837 を受け側として世界から到達可能な経路を記録する。独立した観測が同じ関係を示すことは有用だが、対象は一つのプレフィックス、一つの時点、一部の観測地点にすぎない。全プレフィックス、全顧客回線、全時間帯へ外挿することはできない。

APNIC の方針には AS9929 も記載されるが、公開されている現在の観測画面から、AS4837 と同時に稼働する第二上流を確認することはできない。仮に二つの BGP セッションが同時に上がっていても、それだけでは物理的な二重化にならない。同じルーター、同じ光伝送装置、同じ引き込み口、同じ管路、同じ中継局、同じ作業班に依存していれば、単一事故で二つとも失われる可能性がある。必要なのは AS 名の数ではなく、回線 ID、終端ルーター、局舎、光路、建物引き込み口、管路、保守主体がどこまで分かれているかである。

bgp.tools の AS135629 観測は、寧夏西雲数據科技または AWS 寧夏のネットワークに対する上流の一つとして AS10206 を挙げる。これは、AS10206 が地域のクラウド接続環境に参加しているという追加の証拠になる。しかし、AS135629 の設備を所有すること、同じ棟に収容されること、同じ復旧拠点を使うこと、あるいは個別顧客がその接続を利用できることは示さない。相互接続の存在と、購入したサービスの経路保証は別の問いである。

買い手が確認すべき最小単位は、自分に割り当てられるプレフィックスまたは接続、顧客側ポート、相手側ポート、両端ルーター、平常時と障害時の経路である。単一路を落とす立会試験を行い、経路の収束だけでなく、帯域、遅延、パケット損失、運用連絡の所要時間を記録しなければ、経路方針は可用性の証明にならない。

園区の運用実体は、年ごとの里程標から確認できる

園区の出発点を示す2020年の中衛市報告は、200ムー、6棟という構想を掲げた一方、当時は第一棟が建設中だった。これは将来像の証拠であって、当時利用できた容量の証拠ではない。計画図に描かれた棟数とサーバー数を現在の供給量へ持ち越すと、建設、設計変更、電力受け入れ、顧客搭載という中間段階を消してしまう。

2021年4月の市報告では、IDC 棟1棟と運用棟1棟が完成し、1,800ラック計画のうち760ラックが試運転に入り、医療・行政のクラウド業務が利用されているとされた。これは単なる着工よりはるかに強い運用証拠である。ただし、試運転ラックがすべて本番受け入れ済みだったか、何台が送電済みだったか、空きがいくつあったか、障害時に別ラックへ移せたかは示されない。

2021年9月の事業報告は、第一期1,500ラックが販売済みで、第二期には8 kW 級4,000ラックを計画し、その半分超が先行販売されたと述べた。ところが2022年4月の報告では、第一期の設置率が90%超とされる一方、第二期は2,000ラックと記載された。販売済み、設置済み、使用中は同義ではなく、4,000と2,000の差も公開資料では橋渡しされていない。

2022年11月の福建・寧夏クラウド開始報告は、福建に結び付く10社超の利用、第二期2,000ラック、第三期にさらに8 kW 級2,000ラックという説明をした。これにより企業負荷が園区へ入ったことは補強されるが、どの棟のどのサービスだったか、別地域へ復元できたかまでは分からない。2023年5月の第三棟上棟報告は、8 kW 級2,000ラック、サーバー3万台超という設計を示すものの、上棟は構造体の段階であり、機械・電気工事、送電、ネットワーク受け入れ、顧客搭載を意味しない。

運用の厚みは後年の記録で増す。2024年12月の AIDC 報告は、稼働2棟、4 kW 級1,500ラック、8 kW 級2,000ラック、GPU チップ1万4,000超、設置率85%超を挙げ、行政、医療、金山雲、Lenovo などの負荷を紹介した。2025年9月の中衛クラスター報告は第四棟の稼働と、より広いクラスターが北京、上海、広州、成都へ直結し、重要26都市へ到達するとした。ただし都市接続の記述はクラスター全体のもので、AS10206 だけの物理経路としては読めない。

2025年12月の稼働報告は、稼働5棟、建設中2棟、納入済み8,000ラック超とした。将来の約12万ラック、IT 負荷300 MW は完成後を描く予測であり、現在値ではない。2026年1月の DC6 報告では、DC6 が2025年9月に機械設備引き渡しとなり、1,992標準ラック、約29 MW の IT 容量を持つとされた一方、DC7 は試験中、DC8 は土建段階から先の受け入れがまだ示されていない。この年表から「園区は稼働している」とは言える。しかし「いま空いていて契約でき、停電時にも残る容量が8,000超ある」とは言えない。

ラックの算術では、計画、納入、販売、空き、予備を混ぜない

データセンターの数字が誤解を招きやすいのは、同じ「ラック」が異なる状態を表すからである。設計図に置かれたラック、床に固定されたラック、給電されたラック、冷却とネットワークを含む受け入れ試験を終えたラック、機器を搭載したラック、顧客へ販売・予約されたラック、未契約で直ちに使えるラック、故障時に退避先となる互換ラックは、すべて別の集合である。公開資料には、この集合を棟別・日付別につなぐ表がない。

第二期の4,000対2,000という差は、その危険を端的に示す。設計変更、期の呼び方の変更、工事範囲の分割といった説明は考えられるが、根拠のない推測で数字を足したり置き換えたりすべきではない。2021年の先行販売を現在の占有率とみなすことも、2022年の設置率を現在の空き率へ変換することもできない。予約が解約された可能性、追加販売された可能性、異なる密度へ改修された可能性のどれも、公開記録では決着しない。

第四期にも同じ問題がある。2024年の EPC 調達公告は、第四棟と支援センターについて20 kW 級約1,625ラック、設計 PUE 1.197を示した。しかし、自然資源当局は2025年に旧計画許可の取り消しを、申請者による計画最適化を理由に公示した。その後、第四棟の稼働は報じられたが、当初調達範囲、変更後の設計、完成時の構成を照合できる公開の完成図書はない。旧数字をそのまま稼働ラックとして残すのは不適切である。

拡張中の棟では、許認可の意味も限定して読む必要がある。DC7 の建設許可は事業と建設の正当性を裏付けるが、完成、送電、受け入れ、顧客提供を証明しない。DC8 の計画公告には、4階建ての建物、モジュール室、蓄電池室、電気室、補助室、ディーゼル発電設備の場所が描かれる。これは予定する設備範囲を理解する資料にはなるが、発電機の台数・運転時間、冷却能力、送電済みラック数を示す試験記録ではない。

買い手が必要とするラック算術は、対象棟ごとに、設計、設置、送電、受け入れ、搭載、販売・予約、未契約、保守停止中、最大故障後に利用可能、という列を同じ基準日で並べたものだ。さらに標準ラック換算の定義、ラック当たり許容密度、実 IT 負荷、冷却上限、対応できるサーバーや GPU の種類を加える必要がある。納入済み8,000超や DC6 の1,992という里程標は、園区の規模を示す。だが、その表がなければ、回復用の余白や販売可能な在庫を示さない。

変電所の MVA は、販売できる IT 容量へ直結しない

電力関係の公開資料は、園区が大型負荷を受け入れるための投資を進めていることを示す一方、実際に顧客へ渡せる冗長容量の算定には足りない。第一110 kV 変電所の環境影響報告は、63 MVA 変圧器3台、風雲第一・第二開閉所からの110 kV 受電2回線、10 kV 出線36回線という設計を記す。ただし、110 kV 送出線工事を評価範囲から除外しており、設備の送電開始、実負荷、保護方式、総合試験の結果を示すものではない。

第一変電所の建設許可は、3台構成と建物規模が行政上認められたことを補強する。しかし許可日は運転開始日ではなく、銘板容量は利用率ではない。また、風雲開閉所の事業承認は、その設備が中衛のクラウド企業7社を支える目的だとする。二つの受電先名があっても、より上位の地域系統や開閉所を共有するなら、顧客から見た共通故障点が残りうる。

第二110 kV 変電所の環境影響報告も、63 MVA 変圧器3台と10 kV 出線36回線を計画し、大唐開閉所から約1.5 km と1.7 km の地下ケーブル2回線を、園区内の一部異なる通路へ通すとしている。通路の一部が分かれることは物理証拠として重要だが、二回線は大唐という同じ起点を共有し、資料上も計画段階である。完成後の実測経路、送電、単一回線遮断試験がなければ、独立性を確定できない。

MVA から販売可能な IT MW を単純に計算してはいけない。力率、変圧・配電損失、冷却、照明などの非 IT 負荷、保守時の停止、N、N+1、2N の構成、許容温度、予備率が介在する。3台を合計した銘板容量を通常時の最大販売量とすれば、1台停止時の容量を二重計上する恐れがある。さらに発電機、蓄電池、燃料補給、切り替え時間、定期保守が、系統停電時に残る実容量を決める。

既存棟についても資料は途中段階を示す。第二棟の省エネルギー審査は機械・電気事業が審査を通過したことを示すが、公表版には消費量がなく、運転開始の証明ではない。第三棟の変更後審査も、範囲やエネルギー使用に重大変更があれば手続きを要することを示す一方、実負荷は伏せられている。買い手は、受電開始証明、単線結線図、棟・ホール・ラックへの系統割当、直近12か月のピーク、保守時の低下、発電機と蓄電池の実負荷試験を求めるべきである。

低い PUE は有力な設計目標でも、熱障害への余裕を示さない

中衛の寒冷で乾燥した気候は、外気を利用する冷却に有利な条件を持つ。2024年の AIDC 報告は、外気冷房、間接蒸発冷却、フッ素ポンプ、コールドプレート式液冷を挙げ、PUE を1.2未満としている。第四期の調達公告にある1.197も、効率を重視した設備設計と整合する。こうした技術選択は、同じ IT 仕事量に必要な施設電力を抑える可能性があり、高密度負荷の運用能力を考えるうえで無視すべきではない。

ただし、PUE には測定境界と時間軸がある。園区全体か一棟か、年平均か設計点か、試験値か実測値かによって意味が変わる。ピーク気温時、粉じん、給水制約、ポンプ停止、熱交換器の汚れ、液冷ループ故障、保守中にも同じ能力が残るかは、単一の比率から分からない。高密度ラックでは、総電力に余裕があっても、特定ホールの配管、分配装置、熱交換器、二次側ポンプが制約となりうる。

データセンターのグリーン・低炭素発展行動計画は、全国的にエネルギー効率、利用率、再生可能エネルギー利用を高める方向を示す。政策の方向と園区の技術説明は一致しているが、政策目標は当該棟の実績ではない。再生可能エネルギーの比率や PUE の公称値を、顧客サービスの可用性や障害時の冷却余裕に置き換えるべきではない。

調達時には、棟別・月別の PUE だけでなく、計測点、IT 負荷の分母、最高外気温時の記録、水使用量、液冷と空冷の対応密度、冷却設備一系統停止時の最大許容負荷を確認する必要がある。特に、販売するラック密度が4 kW、8 kW、20 kW と変化してきた園区では、ラック数の空きと熱的に受け入れ可能な空きが一致しない。空のラックがあっても、必要な冷却方式と電力分配が備わらなければ顧客には使えない。

ホステッド容量は、場所、機器、回線、作業責任の束である

工業情報化部の電気通信業務分類では、IDC サービスは場所の提供だけでなく、保守、貸与サーバーやストレージ、回線、帯域、付帯設備、セキュリティ設備を組み合わせうる。この定義は、China Unicom Zhongwei Cloud の個別商品内容や免許範囲そのものを証明するものではないが、「容量」という一語が複数の依存関係を覆い隠すことをよく示している。

顧客が自前機器を置くコロケーションなら、事業者が担うのはラック、電源、冷却、入退室、回線、遠隔作業であり、サーバー部品の在庫は顧客側か保守会社側にあるかもしれない。貸与サーバーなら、電源ユニット、ディスク、メモリー、アクセラレーター、ファームウェアの交換責任もサービス側へ寄る。ストレージや計算サービスなら、物理機器が動いていても、制御面、認証、割り当て、課金、イメージ管理の障害で顧客から使えなくなる。

工業情報化部の IDC 顧客データ保護指針は、ホスティング、ストレージ、計算という場面を分け、運営者、顧客、第三者の責任境界に注意を向ける。建物が利用可能でも、顧客データへ到達するサービスが利用不能になることはありうる。逆に、アプリケーションが別拠点で動いていても、鍵、ログ、管理系、バックアップの一部が中衛に残れば、障害や移行の影響は消えない。

したがって、見積書には少なくとも、床またはラック、ラック当たり電力、冷却方式、サーバーまたはストレージ仕様、ポートと帯域、DDoS 対応、遠隔作業、部品、監視、バックアップ、復元、データ持ち出しを分解して記載すべきである。各項目について、担当法人、受付時間、初動時間、復旧目標、除外条件、第三者依存を対応させる。大きな園区の中に空間があることと、契約したサービスの全構成要素が同時に利用できることは同じではない。

障害はラックから契約まで、異なる層を伝わる

最も局所的な障害は、PDU、電源ユニット、ディスク、アクセラレーター、メモリー、ファームウェア、液冷部品など、ラックまたはサーバー内で起きる。ここでは交換部品の互換性、現地在庫、夜間の入室権限、遠隔作業の待ち時間が復旧時間を決める。予備サーバーが同じホールにあっても、同じ配電盤や冷却ループに依存すれば、ホール障害への備えにはならない。

一段上には、開閉装置、母線、UPS、蓄電池、発電機、冷却ループ、集約スイッチ、防火設備といった部屋・建物の故障がある。さらに上には、変電所、共通の開閉所、共通管路、燃料補給、道路・入構制限といった園区・地域の故障がある。複数棟を持つことは局所的な選択肢を増やすが、棟間で上位電源、通信引き込み、運用要員を共有していれば、地域的な独立性は得られない。

ネットワークでは、エッジルーター、光モジュール、伝送装置、管路、AS4837 側の設備、経路方針、DDoS 対策や設定変更が障害点になる。中衛クラスターから複数都市への接続報告は広域サービスの存在を示すが、特定顧客の二回線がどの設備を共有するかは示さない。論理的に別の接続先があっても、同じ建物入口や同じ現地作業員に収束していれば、復旧時間の相関は高い。

運用上の故障も物理障害と同じ重さを持つ。互換部品がない、メーカーの到着が遅い、遠隔作業の列が長い、作業承認者と連絡がつかない、エスカレーション先が契約外である、といった状況では、設備の冗長性を利用できない。公開資料は交換部品の数量、当番表、過去のチケット時間、メーカーの現地到着約束を示していない。ここが、ラック数と修理可能性の間にある大きな空白である。

商務と移行も故障経路になりうる。請求の争い、回線契約の失効、クロスコネクトの停止、別会社との契約不履行、利用可能な外向き帯域の不足があれば、機器は動いていても顧客はサービスを維持できない。独自形式のイメージ、持ち出せない鍵やログ、互換性のない移行先、遅い転送、十分な復旧用容量がないことも、停止を長引かせる。

影響を受けるのは、報告に現れる寧夏の行政・医療サービス、福建に結び付く企業負荷、金山雲や Lenovo などの技術系利用者だけではない。AS10206 の下流ネットワーク、その先の利用者、遠隔から業務へ接続する人々にも影響が伝わりうる。ただし公開トポロジーでは、どの利用者がどの棟・回線・機器に依存するかを数値化できないため、利用者数や可用性を推計するより、契約対象の故障木を作る方が実務的である。

修理時間は、冗長設備が使える時間を決める

冗長性は予備が「ある」だけでは成立しない。常用系が故障してから、検知、切り分け、承認、入室、部品搬入、交換、再設定、データ再同期、顧客確認までにかかる時間が、予備系の持続時間より短くなければならない。蓄電池が支える時間より発電機への切り替えが遅い、発電機の燃料補給より地域停電が長い、予備ディスクの再構築より二台目の故障が早い、という場合、設備数の冗長表示は顧客の復旧を守らない。

公開情報には、対象サービスの修理当番、現地常駐人数、部品在庫、夜間・休日の入構、メーカー到着時間、燃料契約、遠隔作業の待ち行列がない。したがって「5棟ある」「二つの受電が計画されている」「二つの AS 方針が登録されている」という説明から、復旧時間を導くことはできない。買い手は、設備構成と同じ強さで、修理を実行する人、権限、部品、手順を確認する必要がある。

実効性を見るには、平均値だけでは足りない。直近の重大障害について、発生から検知、顧客通知、技術者の着手、部品交換、暫定復旧、恒久復旧までの時刻を求める。さらに、最も遅かった事例、部品不足で延びた事例、複数顧客が同時に遠隔作業を求めた事例を確認する。平均修理時間が短くても、大規模障害時に同じ要員と在庫へ要求が集中すれば、顧客ごとの待ち時間は伸びる。

サービス水準には、受付の応答だけでなく、代替機の提供、データ復元、回線切り替え、顧客が業務を再開できる状態までの責任を含めるべきだ。原因が回線事業者、機器メーカー、電力会社、建物運営者のどこにあっても、顧客から見た停止時間は一つである。責任を分けることは必要だが、窓口を分断してはならない。

園区内の別棟は、別地域の復旧拠点とは限らない

公開資料からは、China Unicom Zhongwei Cloud の特定サービスについて、名称の分かる第二拠点、複製方式、予約済み復旧容量、達成した RPO・RTO、復元訓練、中衛から独立したネットワークを確認できない。稼働棟が増えるほど、同一園区内で機器を分散する余地は増える。しかし、それは地域災害、上位電力、共通回線、共通運用の故障から離れた復旧領域を自動的に作らない。

「別棟」という回答を受けたら、二つの棟の電力がどの変電所・開閉所まで共有されるか、光回線がどの管路・引き込み口・局舎まで共有されるか、同じ冷却水、燃料、管理系、認証、運用要員に依存するかを追う必要がある。第二変電所の二回線が一部異なる園区内通路を使う計画は前進だが、共通の大唐開閉所を持つ。ネットワークにも同じ問いを当て、AS 名の違いより物理経路と作業責任の違いを見るべきである。

復旧先には、平常時に空いているだけでなく、障害時に対象負荷を受けられる互換性が必要だ。計算機の世代、GPU、ストレージ性能、ネットワーク帯域、IP アドレス、鍵、ソフトウェア、データ量、冷却密度が合わなければならない。園区全体に未使用ラックがあっても、対象負荷に必要な電力密度や液冷設備がなければ復旧には使えない。すでに販売予約されたラックを災害時だけ借りる想定も、契約上確保されていなければ実行できない。

十分な証拠は、復旧先の名称と運営法人、電力・回線・管理の独立性、確保容量、複製経路、バックアップの隔離、鍵の保管、最近の復元試験、建物全体を失う想定の訓練を含む。RPO と RTO は契約文の目標だけでなく、実データ量を使った結果で確認する必要がある。営業時間外に主要棟を利用不能と仮定し、別拠点でアプリケーションを起動し、利用者が接続し、整合性を確認するところまで測らなければ、復旧能力は推定のままである。

データが中衛にあることと、データの全経路が国内に閉じることは別である

データ安全法は、データの分類、保護、監視、重要データの越境に関する法的文脈を定める。個人情報保護法は、個人情報の処理義務と越境提供を扱う。2024年のデータ越境流動規定は、対象となる越境移転の仕組みと適用除外を整理している。これらは重要な基準だが、個別顧客のデータ分類、役割、適用手続を自動的に決めるものではなく、本稿も法的助言を行うものではない。

中衛の物理拠点を選ぶことは、中国国内への配置を支える明確な要素になる。しかし、主データが中衛にあっても、バックアップが別地域にあるか、遠隔管理者がどこから接続するか、ログや監視データがどこへ送られるか、下請けが何へアクセスするか、サポート時に診断情報がどこへ渡るかは別に確認しなければならない。制御面、請求、鍵管理、脅威監視が異なる場所にあれば、データ所在は単一の住所では表せない。

復旧設計と法的条件は相互に制約する。技術的には利用可能な別拠点でも、業種規制、契約、データ分類、越境条件によって移行できなければ復旧先にならない。反対に、法的に許容される場所でも、帯域、互換機器、鍵、復元手順がなければ時間内に使えない。主拠点の所在だけを調達条件にするのではなく、複製、バックアップ、ログ、遠隔保守、事故解析、持ち出し、消去の経路を図にする必要がある。

契約では、誰が個人情報や業務データの処理目的を決め、誰が委託を受け、誰が再委託を行うかを明確にする。保存期間、事故通知、監査、下請け変更、暗号鍵、退去時の返却形式、消去証明も、サービスの物理構成と結び付けるべきだ。中衛という地名は重要な事実だが、データの全生活周期を説明する答えではない。

「東数西算」の方向性は需要を説明するが、個別の可用性を保証しない

「東数西算」の実施に関する政策指針は、ハブの利用率を高め、東部と西部を連携させ、適した負荷を配置する国家的方向を示す。中衛の園区拡張、福建に結び付く企業利用、複数都市への接続という記録は、この方向の中で理解できる。低温乾燥の気候、拡張可能な土地、大規模電力、広域接続は、計算・保存負荷を西部へ置く経済的な理由になりうる。

しかし、政策上望ましい配置と、特定顧客の障害耐性は異なる。クラスター全体の利用率が高いことは、空き容量が多いことを意味しない。東部から西部へ負荷を移す回線があることは、同じ帯域を災害復旧時にも確保できることを意味しない。電力の規模が大きいことは、単一設備停止後にも契約負荷を維持できることを意味しない。政策の成功指標と顧客のサービス水準は、同じ数字で測られない。

配置に適する負荷も一様ではない。遅延に敏感な取引、対話処理、制御系と、時間をずらせる学習、バッチ計算、保管では、回線障害や復旧時間の影響が異なる。顧客は「中衛で動かせるか」だけでなく、「中衛への回線が低下したとき、どの機能をどこまで継続できるか」を決める必要がある。障害時に処理を遅らせられるのか、東部側に最低限の機能を残すのか、データ整合性をどう守るのかが、配置の適否を左右する。

この観点から、園区の巨大な将来計画は需要と投資意欲の証拠にはなるが、現在の個別契約を評価する分母には使えない。調達判断では、国家的な配置理由を尊重しつつ、対象サービスのホール、回線、電力、修理、復旧という小さな単位へ戻る必要がある。

容量の見積書には、基準日と故障条件が必要になる

容量は在庫のように見えて、実際には時間によって変わる約束である。ある日に未契約だったラックが翌日には予約されることがあり、空いて見える床が電力工事や冷却調整の途中であることもある。逆に、販売済みと報じられた将来区画が、設計変更や契約変更を経て別の用途になる場合もある。公表された過去の数字を現在の見積書へそのまま移すのではなく、見積書の基準日時点で何が確保され、いつ利用開始できるのかを確認しなければならない。

基準日は、単なる文書の日付では足りない。その時点でラックが物理的に設置され、所定の密度で給電でき、冷却方式が適合し、顧客ポートと帯域が用意され、受け入れ試験が終わっているかを一組として示す必要がある。いずれか一つが未完なら、顧客の業務に使える容量ではない。サーバーや GPU を事業者から借りる場合は、必要な型と数量、交換部品、ファームウェアの互換性も同じ基準日に確認する。

見積容量と予約容量の関係も明確にすべきだ。販売側が複数の見込み客へ同じ拡張余地を示していないか、契約成立後にどの単位で確保されるか、利用開始まで他の顧客へ振り替えられるかを契約上区別する。復旧用容量については、平常時の販売在庫と共用すると、大規模障害のときに初めて不足が明らかになる。通常販売用、保守切り替え用、災害復旧用のどれとして確保されているかを示す必要がある。

故障条件を付けない容量表示も不十分である。すべての受電、冷却、回線が正常な状態で使える最大量と、変圧器、冷却系統、ルーター、光路のいずれかを失った状態で維持できる量は異なる。保守停止と突発停止でも、切り替え準備や人員配置が違う。買い手が必要とするのは、最良条件の合計ではなく、自らが許容できる故障を一つずつ適用した後に残る容量である。

また、互換性のない余剰を合算してはいけない。低密度ラックの空きは高密度計算機の代替にならず、空冷区画は液冷を要する機器の退避先にならないことがある。別棟に電力が残っても、同じネットワーク帯域、ストレージ性能、鍵、管理権限がなければ業務は再開できない。容量表には、単なるラック数とともに、密度、冷却、機器、回線、データ複製の適合条件を添えるべきだ。

最後に、見積書の有効性は試験で確かめる。対象ラックへの実負荷投入、片系電源または片系回線の切り離し、遠隔作業の依頼、予備機への切り替え、データの一部復元を行い、約束した容量が実際の手順で使えるかを見る。試験後に構成、予約、設備の状態が変わった場合は、証拠も更新する。これにより、歴史的な園区総量と、その時点で顧客が購入できる能力を混同せずに済む。

買い手が作るべき証拠表は、契約からラックまで切れ目がない

第一の列は法的責任である。正式な販売主体、請求主体、土地・建物運営者、回線事業者、機器保守者、遠隔作業者、バックアップ運営者を記し、各社の責任とエスカレーション先を対応させる。AS10206 という名称や中国聯通のブランドだけで止めず、事故時に誰が何を命令できるかを確認する。

第二の列は物理配置である。対象サービスを棟、ホール、列、ラックへ落とし、サーバーまたはストレージの資産番号、ラック密度、PDU、UPS、配電盤、変圧器、常用受電、予備電源、冷却ループをたどる。機密上すべてを開示できない場合でも、独立した監査人による確認、共通故障点の要約、顧客立会試験で代替できる。重要なのは、園区総量と顧客割当の間に検証可能な橋を置くことだ。

第三の列はネットワークである。プレフィックス、顧客ポート、回線 ID、ルーター、光伝送、建物引き込み、管路、上流 AS、都市間区間を並べる。AS4837 と AS9929 を二重化の根拠にするなら、両者の現在のセッション、異なる装置と局舎、異なる管路、片系遮断時の結果を示す必要がある。AS135629 との接続関係は地域の接続性を示す補助証拠であり、顧客の第二経路として契約されていない限り、冗長性へ数えない。

第四の列は容量である。設計ラックではなく、送電・受け入れ済みで互換性があり、販売予約されておらず、最大の想定故障後にも残る容量を、棟別に示す。電力は MVA の合計ではなく、冷却・損失・保守・冗長方針を差し引いた IT 容量で示す。冷却は年平均 PUE ではなく、高温時と一系統停止時の上限で示す。DC6 の約29 MW も、実負荷、予約、障害時余裕がなければ販売余力へ換算しない。

第五の列は修理と復旧である。24時間の当番、入室権限、互換部品、メーカー到着、燃料、遠隔作業の最大待ち時間を記す。別拠点については名称、距離ではなく、電力、回線、管理、要員の独立性、予約容量、複製、復元結果を確認する。RPO・RTO は目標値と直近試験値を分け、建物喪失を想定した試験日、データ量、開始・完了時刻、失敗点を残す。

第六の列は退出である。データとイメージの形式、鍵とログの返却、外向き帯域、転送料、所要時間、並行稼働、消去証明を、小規模な実データで試す。契約終了時だけでなく、事業者障害、請求紛争、回線停止時にも使える手順でなければならない。復旧先へ移せるという説明は、実際に一部を移し、起動し、照合して初めて証拠になる。

結論は慎重だが否定的ではない

AS10206 については、登録と複数の経路観測があり、ネットワークが現に存在する証拠は強い。物理経路の多様性と建物への対応が未解決であるため、ネットワーク全体の証拠評価は「中」とするのが妥当だ。中衛園区については、2021年の試運転と実利用から、2024年の稼働2棟、2025年の稼働5棟、2026年の DC6 機械設備引き渡しまで、日付のある記録が連続している。園区運用の証拠評価は「中高」である。

一方、顧客がいま使える容量の証拠評価は「低い」。理由は設備が存在しないからではなく、公開総数から顧客単位の利用可能量へ降りる橋がないからだ。第二期のラック数は資料間で食い違い、第四期は計画変更を経て、8,000超は納入済み、1,992と約29 MW は DC6 の機械設備引き渡しという里程標である。送電、受け入れ、搭載、販売予約、空き、故障時余裕を棟別にそろえなければ、どの数字も可用在庫にならない。

この結論は China Unicom Zhongwei Cloud を利用すべきでないという意味ではない。実在するネットワークと成長する園区は、調達の出発点として価値がある。むしろ規模が大きく、サービスの層が多いからこそ、顧客はブランドや総量の説明を、契約主体、ホール、電力系統、光路、部品、修理当番、復旧先、退出試験へ変換する必要がある。

最終的な問いは単純である。平常時に何ラックあるかではなく、一つのルーター、一つの管路、一台の変圧器、一つの冷却系統、一棟、あるいは中衛という地域を失った後、顧客の負荷を誰が、どこで、何時間以内に、どの容量で動かせるのか。その答えを契約、構成図、試験結果で示せる部分だけが、顧客にとって本当に利用可能な容量である。