- 3月に TSMC の生産上限へ言及したのは Broadcom の製品マーケティング責任者で、CEO の Hock Tan ではない。TSMC の増強は2027年まで続き、2026年の供給を絞るとの説明だった。
- Broadcom は別途、先端ウエハー、広帯域メモリー、基板の能力を2026~2028年分確保したと述べた。業界全体の希少性と同社の予約状況を混同してはならない。
Broadcom が述べたこと、TSMC が述べなかったこと
Reutersは3月24日、Broadcom の Physical Layer Products 部門で製品マーケティングを担当する Natarajan Ramachandran の発言を報じた。同氏は技術供給網の広い範囲で制約があり、TSMC が生産能力の上限に達しつつあると説明した。TSMC は2027年に向け能力を増やすが、現状は2026年のボトルネックになっているという。
これは両社の共同警告ではない。TSMC はこの Reuters 取材に回答せず、Reuters は同社が以前、能力が逼迫し需給差を縮めるため努力していると述べた事実を補足した。従来記事は発言者を Hock Tan と誤り、CoWoS が2026年末まで満杯で Broadcom の納入遅延を起こしていると断定した。この三点は3月報道にはない。
Broadcom 自身の供給状況はさらに具体的だ
Broadcom は3月4日の決算説明で別の重要な情報を示した。公開された説明会記録によると、経営陣は先端ウエハー、HBM、基板の能力を2026~2028年分すべて確保したと述べた。第1四半期発表では AI 売上高が84億ドル、前年同期比106%増だった。予約は無制限の追加供給を意味しないが、パッケージ制約がすでに Broadcom の納入を一律に遅らせているとの主張とは異なる。
需要信号はその後も強まった。第2四半期発表で AI 半導体売上高は108億ドル、143%増となり、第3四半期は160億ドルを見込んだ。これは会社の実績と予想であり、全供給者が将来注文をすべて満たせるとの証拠ではない。
Form 10-Qは残るリスクを示す。2026年度上期、契約製造者が生産した Broadcom のウエハーの約95%を TSMC が担った。TSMC が他顧客を優先したり値上げしたりする可能性、限定的な材料供給者がメモリー等の納期を延ばし配給する可能性を Broadcom 自身が警告する。長期予約はリスクを下げるが、歩留まり、認定、配分、価格、需要予測の誤差を消さない。
一つの「半導体不足」ではなく四つの制約
先端ウエハーはファウンドリーが前工程で作る論理ダイだ。Broadcom の TSMC 依存が最も直接表れる。ウエハー枠の確保は完成加速器と同義ではなく、歩留まり、工程認定、顧客配分が残る。
HBMはメモリー企業が供給する積層 DRAM で、加速器の近くに置かれ高帯域を提供する。Broadcom は確保済み能力に HBM を含めた。論理と後に統合されるとしても、メモリー供給はパッケージ工程とは別の契約だ。
先端パッケージは後工程の統合だ。TSMC の年次報告は CoWoS を、AI 需要で急成長し大きな論理ダイと HBM を組み合わせる2.5D サービスと説明する。4月、TSMC は能力が非常に逼迫し、新工場に2~3年を要し、大型 CoWoS が主流で CoPoS も開発中と述べた。記録は制約を裏付けるが、2026年末に解消するという正確な公約は裏付けない。
基板と光学部品はさらに別層だ。Ramachandran はレーザー供給の制約と、光トランシーバー用プリント基板の納期が約6週間から6カ月へ伸びたことを挙げた。ウエハーでも HBM でもないが、完成ネットワーク機器を遅らせ得る。
供給予想は条件付きである
TSMC はその後、立場を詳しくした。4月に AI 需要を極めて強い、能力を非常に逼迫していると説明し、6月には C.C. Wei が世界のボトルネックにならないよう努力しているが需要を満たすには時間がかかると述べた。Reutersが報じている。工場、装置、パッケージ線の増強には複数年を要する。
どちらの見通しも納入保証ではない。Broadcom のカスタム加速器予想はハイパースケーラーの計画、設計立ち上げ、予約能力に依存する。TSMC は注文変動時の過剰投資を避けつつ多数顧客へ前工程と後工程を配分する。メモリー、基板、PCB、光学にも独自の投資・認定周期がある。
区別する意味
今回の信号は単一の CoWoS 解消時期ではなく、多層の能力問題だ。Broadcom は業界制約と供給者集中を認めながら、計画した重要部材は確保済みと述べる。TSMC は別途、逼迫と長い増強周期を認めた。ウエハー配分、HBM、パッケージ処理量、基板・光学納期、歩留まり、実出荷を分けて追う必要がある。
悪化の強い証拠は納入未達、配給通知、納期長期化、確保計画に対する実収益不足である。緩和は認定済み能力の稼働、納期短縮、全工程の出荷増で確認すべきだ。経営予想は観測値に応じて更新されなければならない。

