要点
- AT&T の第2四半期売上高は316億ドルで、前年同期比2.3%増だった。
- ポストペイド携帯電話は43万2,000件純増し、その解約率は0.86%だった。
- 光ファイバー36万7,000件と固定無線27万9,000件を合わせ、インターネット接続は64万6,000件増えた。
- フリーキャッシュフローは47億ドル、設備投資は57億ドル、資本投資の指標では61億ドルだった。
- 2026年の業績見通しを維持し、自社株買いを約100億ドルへ前倒しする計画を示した。
通信会社の四半期では、新規契約の大きさだけでなく、既存顧客がどれだけ残ったかが将来の現金を左右する。AT&T のポストペイド携帯電話の解約率0.86%は、43万2,000件の純増を売上基盤へ定着させるうえで重要な数字だ。
ただし、低い解約率から高い株主還元へ直線を引くことはできない。AT&T は光ファイバーを建設し、固定無線を拡大し、銅線網を撤去しながら、負債も管理しなければならない。顧客維持はその資金源を安定させるが、使途の競争をなくすわけではない。
一世帯に複数サービスを売る意味
AT&T によると、高度な家庭向けインターネットを利用する世帯の42.5%が同社の無線サービスも契約している。固定回線と携帯電話を同じ世帯へ提供できれば、販売費を共有し、乗り換えの手間を高め、顧客との関係を長くできる可能性がある。
第2四半期には光ファイバーが36万7,000件、固定無線が27万9,000件純増した。両者の合計64万6,000件に携帯電話を加えると、高度な接続サービスの純増は100万件を超える。
しかし、3つの契約を同じ価値として数えるべきではない。光ファイバーは土木工事を伴う長期資産であり、固定無線は携帯ネットワークの周波数と基地局容量を利用する。携帯電話は移動中の接続を担う。それぞれの獲得費用、通信量、利益率は異なる。
光ファイバーの到達地点は顧客数ではない
AT&T の光ファイバー網は3,860万の住宅・事業所地点に到達した。前四半期から100万地点以上増え、2026年末に4,000万超、2030年末に6,000万超を目指す。
この「到達地点」は契約者ではない。回線を販売できる住所が増えたことを示す建設指標であり、実際の契約率、料金、継続期間は別に確認する必要がある。
固定無線は、光ファイバー工事を待つ地域や、最終区間の工事が割に合わない場所で早く提供できる。一方、利用が増えれば携帯トラフィックとの容量配分が問題になる。両者が同時に伸びたことは市場拡大の証拠だが、同じ収益性の証拠ではない。
買収効果と旧網の負担を分ける
売上高316億ドルの2.3%増には、2月に完了した Lumen の大衆向け光ファイバー事業買収の影響が含まれる。したがって、増収のすべてを既存事業の自然成長とは呼べない。
高度な接続サービスの売上高は5.1%増の235億ドル、営業利益は20.3%増の73億ドル、EBITDA は8%増の120億ドルだった。対照的に旧来事業の売上高は25.9%減り、EBITDA は5億2,300万ドルまで縮小した。銅線撤去の承認が遅れれば、新旧両網を維持する期間と費用は長引く。
約100億ドルは実績ではなく今後の配分計画だ
フリーキャッシュフローは47億ドルで、前年同期の44億ドルを上回った。AT&T は2026年通期で少なくとも180億ドルを見込み、2028年まで年間230億~240億ドルを資本投資へ充てる方針を維持した。
AT&T は123億ドルの調整後 EBITDA とフリーキャッシュフローをいずれも非 GAAP 指標としている。第2四半期の資本投資は61億ドル、純有利子負債は1,264億ドルであり、現金増加分のすべてを自由に還元できるわけではない。
同社は2026年の自社株買いを約100億ドルへ加速する。これは第2四半期にすでに使い切った金額ではない。同四半期の株主還元は41億ドルで、そのうち普通株買い戻しは約22億ドルだった。
低い解約率は資金計画への信頼を高める。だが、最終的な判定には、光ファイバー到達地点の契約転換率、固定無線の混雑、複数サービス世帯の解約率、銅線コストの消滅、そして1,264億ドルの純有利子負債の推移が必要だ。顧客が残ることは出発点であり、資本配分の成功そのものではない。

